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高知県の農業DX、JAが連携強化 現場指導員も参画

高知県最大のJAであるJA高知県(高知市)などJA3団体は2022年度、高知県の進める農業デジタルトランスフォーメーション(農業DX)との連携を強める。これまで組合員の野菜農家の各種データをクラウドに提供してきたが同年度から、営農指導員がクラウドを使えるようにする。データを効率的に分析・加工して農家を支援し生産性を高める。

県内にある4つのJAのうち、JA高知県とJA高知市(同市)、JA土佐くろしお(須崎市)が県の作るプラットフォーム、農業DXとの関わりを強化する。

これら3つのJAは21年度に稼働したクラウド「IoP(Internet of Plants)クラウド」に参画している。ビニールハウスでの野菜農家に現場の気温や二酸化炭素(CO2)濃度、日射量などの環境データをクラウドに送るよう働きかけてきた。現在302農家がデータを送る。

3つのJAと県は22年度からJAの組合員の栽培や経営を支援する営農指導員10人をクラウドにアクセスさせる。内訳はJA高知県が8人、2つのJAがそれぞれ1人。県にも農家の営農を指導する「普及指導員」という技術職員がおり、同年度は営農指導員10人と普及指導員40人にログインの権限を与える。

これまでは普及指導員にしか、このクラウドにアクセスする権限がなかった。JAと県は農の現場と密接につながる営農指導員を加える必要があると判断し、権限を拡大した。

JA高知県の場合、営農指導員1人で50~100戸の農家を受け持つ。営農指導員は今後、クラウドに連動するデータ分析の専用ツールを使い、それぞれが担当する農家のクラウド上のデータを取り込み分析・加工する。これにより環境データを取り込んで分析する時間が短くなり、ハウス内の野菜の最適な管理方法を指導する時間を確保できるようになるという。

現在、環境データを表計算ソフト「エクセル」に入力するが、「1戸あたりの作成時間に30分かかる。担当農家の表入力作業に追われ、エクセルの処理能力も限界に達し、端末がフリーズすることもよくある」(JA高知県)。クラウドの専用ツールを使えば1戸あたりの作成時間は4分程度に短縮できると見込む。

データ重視の指導は勘と経験が差配する仕事のあり方も変える。「ハウスに入って、眼鏡が曇り始めた瞬間が作物にとって適温といった指導が一般。データを迅速に加工・分析して適温を『見える化』すれば農家への説得力も増す」(同)

高知のハウス農業の環境制御技術は高水準を誇り、ナスやシシトウ、キュウリ、ピーマンなど主要な野菜生産は全国でもトップクラスの収量を誇る。今後はデジタルとクラウドに搭載した人工知能(AI)に詳しい県の普及指導員との連携を強め、クラウドにアクセスしてデータ処理できる若年層の人材を増やす考えだ。DX農業に磨きをかけ、産地間競争に備える。

(保田井建)

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