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島根・海士町「島留学」で全国4位 地域おこし協力隊 

データで読む地域再生

地方に移住し任期付き公務員として活性化に取り組む「移住公務員」(地域おこし協力隊)を通じて中四国に若者が集まっている。短期間の移住体験制度を設けたり、林業で生計を立てられるような体制を構築したりすることで、自治体は地域事業の担い手不足を域外から補う。人口減の進む地方で継続的に人材を確保するためには、協力隊の定住率をどれだけ高められるかも重要になってくる。

島根県海士町の「大人の島留学」に参加し、地域通貨の活用拡大策に取り組む刑部湖香さん㊨と石井夏海さん
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島根県海士町、岡山県西粟倉村は2020年度隊員数が40人と中四国最多、全国でも4位と上位に位置する。日本海に浮かぶ隠岐諸島にある海士町は人口約2300人の島で、同年度から地域おこし協力隊制度を活用した「大人の島留学」を開始した。大学生や卒業後の若者が1年間、お試しで就業移住体験できる。比較的短期のため休学などすれば参加しやすいのが特徴だ。

さらに短い3カ月の留学生も21年度から募集を始め、合計で約35人の留学生の若者が町内事業に携わり人材不足を補っている。海士町の地域通貨「ハーン」の活用拡大プロジェクトを担当している福岡の大学生、刑部湖香さん(22)は「地域通貨を卒論のテーマにしようと思って参加した」という。刑部さんらの提案を受け、紙幣のハーンをデジタル通貨にする試行事業を今年度中に実施する予定だ。

「様々なプロジェクトを進めるには人手不足で、役場の人間だけでは限界がある。若い人たちの力を借りて推進したい」と人づくり特命担当課長の浜中香理さんは狙いを説明する。島を活性化させるためにも、制度をさらに充実させる考えだ。

岡山県西粟倉村では、協力隊員と住民らのつながりを強める行事を開催して定着を促す(21年2月)

岡山県西粟倉村では協力隊制度を通じて起業人材が集まる。地元木材の活用を促すために09年から協力隊の受け入れを始め、隊員の起業17件など47件の起業があった。隊員が地域住民の願いやアイデアを引き出し、ビジネス化するプログラムも実施している。

人口約1400人のうち「Iターン者が15%を占めるようになった」(地方創生推進室)。21年度は55人をメドに隊員を増やす計画で、住宅不足を補うためコンテナハウス建設も検討している。

地域の産業創出につながっているのが、20年度の協力隊受け入れ数で四国最多の高知県佐川町だ。林業が地場産業ではなかったものの、町の大半を森林が占めることから、個人で小規模に伐採や搬出をする「自伐型林業」による地域作りをめざして協力隊の募集を進めてきた。堀見和道町長は「自伐型林業といえば佐川町、という認識が定着してきたのではないか」と手応えを感じている。

高知県佐川町では、多くの地域おこし協力隊が「自伐型林業」に携わる

未経験者でも就業できる体制を整える。チェーンソーなど機材は貸し出し、町有の山で3年間研修を積んだ後、町が持ち主から集約した森林で働く。どんな事業に携わるのか具体的に決めておき、任期後も生計を立てられる仕組みを提供できていることが応募増につながっているという。20年度は林業の募集枠3~5人に対して13人から応募があった。佐川町では林業のほか、ものづくり分野で協力隊を募集しており、デザインやプログラミングを学んだ若者が町の人材不足を補っている。

任期後の定住率を高めることも重要になる。山口県の定住率は79.7%と、任期終了者が20人未満の東京と大阪を除けば全国で最も高い。隊員を専従で担当する移住相談員を県が置いているほか、先輩隊員の活動事例集を作成するなど、きめ細かな支援を実施している。24年度までの第2期総合戦略では定住率を85%に引き上げる目標を掲げている。

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