金沢のジェスクホリウチ、遠方監視システムを自治体拡販
電気設備機器販売やプラント制御・監視システムなどを手がけるジェスクホリウチ(金沢市)は工場向けのクラウド型の遠方監視システムを自治体に拡販する。インターネット環境があれば、どこからでもデータを確認できる特徴を生かし、下水道設備や消雪装置などの監視用に売り込む。自治体の防災力強化や効率化の動きに対応するのが狙いだ。

同システムは2019年から提供している。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」が簡単に構築できる。監視対象の機器にセンサーなどを取り付け、機器のデータをクラウドに集約。パソコンやスマートフォンなどでデータを確認できる。
顧客の要望に応じて、機器の状態や異常の監視、運転・故障状況の地図表示といった機能を構築する。既存設備に後付けして導入することが可能。サブスクリプション(定額課金)で、監視対象1カ所あたり月数千円からと安価な点も売りだ。工場内の生産設備の監視を中心に約20の顧客がいる。

22年、製品をバージョンアップした。クラウド内のシステムを活用し、電話回線がない場所でも、監視対象の機器の異常を通報できるようにした。自治体が管理するインフラにも応用しやすくなった。
まず、富山市の下水道関連施設向けに納入した。排水をくみ上げて下水処理場へ送るマンホールポンプの運転状況が把握できる。異常があった時、下水道の担当職員にメールと電話で自動通報する仕組みにした。市によると、専用サーバーがいらなくなるなど維持管理が安価になる利点があるという。
石川県小松市では、道路の雪をとかす消雪装置に導入する予定。100カ所以上ある消雪ポンプの状態が、手持ちのパソコンやスマホから確認できるようにする。22年度中に工事が終わる予定だ。これまで降雪時には担当者が事務所で待機するなどの対応が必要だったが、職員の自宅からでも確認できるという。他の自治体設備への導入も目指す。

ジェスクホリウチの創業は1926年。J(情報)、E(エネルギー)、S(システム)、K(環境)を事業運営のキーワードとしている。2022年3月期の売上高は約150億円。同社は「遠方監視システムを通じて、自社開発のシステム関連の事業強化、拡大につなげる」としている。
(石黒和宏)