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コオロギ養殖のグリラス、主食に進出 パンやカレー

食用コオロギを養殖する徳島大学発スタートアップのグリラス(徳島県鳴門市)は、主食・主菜市場に進出する。6月発売の菓子に続く自社ブランド商品の第2弾で、コオロギ粉末入りの冷凍パンとレトルトカレーを29日に売り出す。餌に小麦残さのフスマを使い、食品ロス削減につながる高たんぱく食材としてアピールする。

食用コオロギは甲殻類に似た香ばしさと高い栄養価が特徴の健康食材として世界的に注目を集めている。グリラスは自社のネット通販サイトを使い、「シートリア」ブランドで新商品を発売する。

コオロギ粉末を練り込んだ冷凍パンは「高菜フランス」「こしあんフランス」「くるみチーズ」「大豆粉ロール」など6種類。各1つ入りの6個セット(2490円)と、2つ入りの12個セット(3890円)を用意した。

冷凍パンのOEM(相手先ブランドによる生産)などを手がけるパンフォーユー(群馬県桐生市)と連携して商品を開発した。家庭の冷凍庫で1カ月以上の保存が可能で、温めればいつでも「焼きたてパン」の風味が味わえる。購入には別途、配送料(800~1500円)がかかる。

コオロギ粉末入りのレトルトカレーは「トマト」「グリーン」「イカスミ」の3種類。香川県小豆島に本社を置く宝食品との共同開発で、牛や豚などの代替肉として注目を集める大豆ミートも取り入れた。価格は690~870円で、3個セット(2010~2550円)もある。送料は無料だ。

食材として使うフタホシコオロギは、通常は捨てられる小麦粒の外皮のフスマなどを餌に、徳島県内の工場で養殖している。雑食性のコオロギは与える餌によって食味が変わるといい、グリラスは「穀物を使い、クセの少ない食べやすい味」(渡辺崇人社長)に仕上げているという。

同社は徳島大のコオロギ研究の成果を基に2019年に創業した。「無印良品」の良品計画が20年春に売り出してヒットした「コオロギせんべい」向けに原料の粉末を供給。21年6月には初の自社ブランド商品となるクッキーとチョコクランチを発売した。今回はパンとカレーを投入し「コオロギ食材を食卓の主役の一つに育てたい」(同)と意気込む。

徳島大の研究者でもある渡辺社長は、環境負荷の少ない循環型食品「サーキュラーフード」の普及を目指している。食物残さでコオロギを育て、その排せつ物を肥料に使った農作物を栽培する流れだ。新商品を発売する29日は、国連が定める「食料のロスと廃棄に関する啓発の国際デー」に合わせた。

(管野宏哉)

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