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札所巡りはアウトドア 自転車ツアー、楽しみ方提案

四国の売り方・遍路 道拓く㊦

新型コロナウイルスの感染拡大は、キャンプなど密を避けることができるアウトドアの人気に再び火をつけた。四方を海に囲まれ、山あり川あり遍路道ありの四国は自然アクティビティーを楽しめる絶好の場所。88の札所を巡るお遍路をアウトドアとして売り出し、新たな遍路客を開拓しようとする取り組みが動き始めている。

旅行会社「四国遍路」などは、88の札所を自転車で巡る実証実験をした

お遍路さんと言えば白装束にすげ笠、人によっては金剛杖(づえ)というのが一般的な服装だ。町中を歩いていれば、一目でお遍路さんと見分けがつく。一方で雨が降れば重くなり、荷物としてもかさばるため機能面で優れているとは言いがたい。

険しい道も行き来しなければならない遍路では、軽くて雨にも強いアウトドアウエアが向いていると、個人旅行の開発を手掛ける株式会社・四国遍路(香川県三木町)の佐藤崇裕社長は提案する。自身が2015年、アウトドアブランドの「サロモン」のシューズを履いて四国遍路をしていた際、ネットでの情報発信がサロモンの目に留まり、個人アンバサダーとしてウエアの提供を受けることになった。

佐藤社長はアウトドアとしての遍路を打ち出すことで、新しい需要を開拓したい考えだ。これまでは年配者が遍路の中心。「若者も高齢者も、それぞれにいろんな遍路があってよい。新しいスタイルを届けたい」(佐藤社長)

旅行商品として開発を進めているのが、自転車お遍路ツアーだ。2020年に共同実施した実証実験では88の札所を自転車で巡礼し、魅力や課題を洗い出した。香川発の自転車ブランド、タイレルとサロモンが協賛し、ミニベロと呼ばれるタイヤが小さい折りたたみ自転車を提供した。徒歩だと40~50日かかる約1400キロメートルの道のりを、20~25日ほどで回れるという。

高知県室戸岬近辺など歩き遍路だと長く感じてしまう地域が、自転車なら海沿いを走れる爽快なコースに変わる。サイクリングロードの整備に力を入れている愛媛県内も走りやすい。雨天時には自転車を折りたたみ、専用の収納袋に収めれば公共交通機関を利用することもでき、遍路の利便性も高まる。

JR四国は高松駅など24カ所にサイクルピットを設置し、サイクリストの利便性を高める

サイクリストのための環境整備も進んでいる。JR四国は高松駅、松山駅など四国の主要な駅など24カ所に、自転車の空気入れや工具などを貸し出す拠点「サイクルピット」を設置した。お遍路の際、パンクなどのトラブルが起きても対処しやすくなる。

四国の自然を体感できる遍路は、インバウンド(訪日外国人)需要を取り込める可能性もある。日本政策投資銀行四国支店の調査によると四国訪問希望者は、訪日希望者全体と比べて自然体験アクティビティーに期待する割合が高い。同支店は自然を生かした体験型コンテンツの強化が重要だと指摘している。

佐藤社長は21年度内の自転車ツアー商品化をめざす。2~3日で近場の札所を巡る短期間の商品なども想定する。アウトドアとしての遍路だけでなく、伝統産業など地域の文化体験も一緒に体験できるアドベンチャーツーリズムを打ち出していきたい考えだ。

長い時間をかけて継承されてきた遍路は四国を代表する文化だ。時代のニーズに合わせた新しい遍路の道を切りひらくことが、四国の存在感にもつながっていく。

(桜木浩己が担当しました)

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