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オンライン旅行、リアルの価値高める 琴平バス楠木社長

ウィズコロナ 私の戦略①

新型コロナウイルスとの共存は3年目を迎えようとしている。行動制限による閉塞感は人々の価値観を揺さぶり、消費行動も様変わりした。大きく変化する時代を企業はどのように捉え、前へ進むのか。ウィズコロナ時代の戦略について、四国を舞台とする経営者が語る第1回インタビューでは、琴平バス(香川県琴平町)の楠木泰二朗社長に聞く。

――自宅にいながら旅行気分を楽しめる「オンラインバスツアー」を2020年5月に始めました。ビデオ会議システムを使った名所案内が話題となりましたが、リアル旅行が再開する中、他社ではオンラインを取りやめる動きもあるようです。

「オンラインバスツアーは継続する。当初はリアルの代替としての需要が強かった。現在ではオンラインツアーに参加することで、実際の訪問をもっと楽しめるようになると提案している。オンラインがリアルの価値を高める。旅行先の情報収集はもちろん、現地から中継する方や、ツアーの進行役に魅力を感じてもらえれば人とのつながりが生まれ、足を運んだ時の満足度は高まる。新しい旅のスタイルとして広めたい」

「オンラインでもリアルと同様、参加者とガイドによる双方向のコミュニケーションを重視している。人口集中地域であれば市場も大きく、集客すれば事業が成り立つかもしれない。しかし市場の小さい地方では関係を積み重ねる『創客』が必要となる。ガイドと参加者が互いに名前と顔を覚えて距離を縮め、また参加したいと感じてもらう。オンラインバスツアーの回によっては、半数がリピーターだ」

――客層に変化はありましたか。

「コロナ前のバスツアー参加者は平均年齢が60代前半だったが、オンラインでは50代前半になった。首都圏在住者が5割を占めており、最近では社員旅行での利用が増えている。国内外70コースを企画し、約7000人が参加した」

「バスツアーには参加したことがなかった若者にも団体旅行の雰囲気を伝えることができた。定員は15~20人に絞っているのでガイドと会話しやすく、実際にリアルも参加してみようかなという声が聞かれた」

――バスツアーのイメージが変わるかもしれません。

「コミュニティーのような要素がバスツアーの良さだと思う。この前もご一緒でしたね、みたいな一体感。団体旅行から個人旅行へと移り変わる大きな流れの中で、一人旅では味わえない魅力を伝えていくことが重要になる。安く移動する手段としてのバスツアーは厳しいかもしれないが、一律に廃れていくのではなく、必要とされるものは残っていく」

「外国人にオンラインで日本旅行を楽しんでもらうツアーも、米国の旅行会社と企画した。将来のインバウンド(訪日外国人)誘客につなげていきたい。東京、京都といったゴールデンルートだけでなく、地方にも足を伸ばしてもらうには、様々な手段で情報を届けないといけない。大勢には来てもらえないかもしれないが、こつこつ積み重ねるのがローカルのやり方ではないか」(聞き手は桜木浩己)

▼琴平バス 観光バスやタクシーを運行しており、コロナの感染拡大を受けてオンラインバスツアーを企画した。参加者には旅先の食品や手作りのシートベルトを届けておき、事前に撮影した道路沿いの景観を動画配信するなど、自宅からでも臨場感のある体験になるよう工夫を凝らす。21年には海外の現地ガイドが同時中継するツアーも展開した。

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