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介護記録をアプリで共有 香川の高齢者施設、ICT推進

社会福祉法人の光寿会(高松市)は、運営する介護施設で情報通信技術(ICT)導入を強化している。入居者の睡眠状態を一元的に把握できる機材を11月に導入し、今後新たに入居者の介護情報を職員で共有できるアプリなどを導入する。介護現場の人手不足感が強まる中、生産性を高めることでサービス内容の向上にもつなげていく。

光寿会が運営する特別養護老人ホーム「あかね」(高松市)では60床あるベッド全てに、利用者の睡眠状態や呼吸数、心拍数などを参照できるパラマウントベッド製の「眠りスキャン」を取り入れた。

入居者が起きて歩行する際には転倒を防ぐ必要があるため、職員が居合わせる場合もある。モニターを通じて寝ているか、起きているかを「見える化」できるため、介護の人手を効率的に配分できるようになった。

4月からは入居者の介護計画や記録をアプリ上で管理するシステムを導入する。水分補給のタイミングや、食事のためにベッドを起こす角度は入居者によって異なり、これまでは職員の経験や紙に記入した記録を頼りに対応していた。スマートフォンを職員に配布し、現場でも記録を適宜参照できるようにする。介護の経験が少なくても適切なサポートが提供可能な体制を整える。

人工知能(AI)を搭載したカメラも取り入れる。転倒リスクが高い入居者の部屋に、家族の同意を得た上で導入する方針。眠りスキャンでは入居者が起きているかどうかまでは判断できるものの、座っているのか、歩こうとしているのかまではわからなかった。人の動きをもとに行動内容を判別できるカメラを併用することで、判断の精度を高める。入居者の状態もスマホに通知がくる仕組みにする。

職員同士が繁閑をわかるようにもする。施設内のリビングなどにカメラを設置して、職員の配置を把握できるようにしておく。人手が必要な際に手の空いている人に連絡を取れる体制にする。

光寿会は機材費用として計2000万円を投じた。一連の改革で職員1人当たりが対応できる入居者の人数は、3人から4人に増えるとしている。アプリ導入などは全国老人福祉施設協議会のICT導入に関するモデル事業として採択されており、補助金を受けている。全国で8施設が選ばれており、導入効果などを計測した上で、11月からは他の施設へと普及・啓発を進めていく。

介護現場の人手不足は深刻さを増している。厚生労働省によると25年度に全国で必要とされる介護職員は243万人なのに対し、19年度の介護職員数は211万人。需要は今後増えていくと見込まれるが、高齢化もあって経験豊富な従業員は確保しにくい状況にある。

人手不足を補う外国人技能実習生も新型コロナウイルスの影響を受けて来日できない状況が続いている。光寿会ではインドネシアとミャンマーの実習生4人を新たに採用する予定だが、「オミクロン型」の感染拡大もあり、先行きは見通しにくい。

光寿会の特別養護老人ホームでは、働き手の3分の1を技能実習生が占める。理事の吉岡哲哉氏は「実習生含め、介護の経験が浅くても働ける環境づくりをしなければ施設は回らない。現場における介護情報の共有が不可欠」と話す。ICT導入で効率化を進め、サービスの向上にもつなげていきたい考えだ。(桜木浩己)

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