被爆建物活用の3方向提示 交流促進、歴史や平和学習

広島市に残る最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」の利活用策を検討する有識者懇談会は市内の会合で「交流促進」「広島の歴史、平和を学ぶ」「広島を体感する」の3つの方向性を打ち出す報告書をまとめた。県民参加のワークショップに寄せられた図書館やアート施設、平和資料館、ホテル、観光拠点などに利用するとのアイデアを基に整理した。
被爆地であり、軍都でもあった地域の歴史を伝えながら、時代に合わせた新しい機能を取り入れることを基本理念に、方向性を定めた。広島市と、建物を所有する国と広島県でつくる研究会は4月以降、報告書を基に検討を進める。
被服支廠は太平洋戦争末期まで軍服などを製造、保管していた施設。爆心地から約2.7キロにあり、原爆投下直後には臨時救護所となった。倉庫として使われていた4棟が住宅街に現存し、3棟を県、1棟を国が所有する。県が設置した有識者懇談会は2021年11月から議論を重ねてきた。〔共同〕