カーネーション生産拡大 高松の香花園、「花育」商品も

カーネーションの栽培を手掛ける農事組合法人、香花園(高松市)は切り花の生産を拡大する。2021年春に新設した温室で栽培し、秋から本格的に出荷する。外国産の割合が増加する中で、香川県オリジナルの品種の育成や、子どもたちに植物に親しんでもらう「花育(はないく)」商品を展開し、需要を喚起する。
香花園は複数農家が共同で経営しており、高松市塩江町のガラス温室で切り花と苗を生産してきた。カーネーションは母の日に贈答するイメージが強いが、日持ちが良く色数も豊富なことから、他の花と合わせたブーケ用需要もある。夏の一時期を除いて通年で出荷できる。
老朽化していた施設の更新や生産量の拡大を目的として、高松市香南町に鉄骨プラスチックフィルムの温室を4棟設けた。ハウス面積は約6千平方メートルあり、切り花の生産に特化する。年110万本の出荷から、30万本の上乗せを見込んでいる。21年6月期の売上高は1億7000万円だった。

農林水産省によるとカーネーションの切り花の輸入割合は、2007年の34%から17年には60%まで増加した。主な輸入相手国のコロンビアなどでは気候が栽培に適しており、日本のように特別な施設が不要で生産コストも低い。香花園では海外産との違いを打ち出すため、香川県独自の品種「ミニティアラ」の栽培を手掛けている。花が小ぶりで色も鮮やかなことから他の花と組み合わせても映えやすいという。
20年からは在宅でカーネーションを生けることができるキット「わくわくボックス」の販売を始めた。花、生ける土台、飾るケースがセットとなっており、ハサミがあればすぐに楽しむことができる。2人用で4880円(送料別)。新型コロナウイルス禍で在宅時間が長くなる中、子供が花に触れられる機会を増やそうと商品開発した。

香花園の代表理事を務める真鍋佳亮さんは、子どもらが花を生け、楽しむ様子を見て「自由にやればいい。飾り箱の蓋が閉まらないくらいに生ける子もいるが、楽しいのが一番」と手応えを感じている。
小さい子どもたちに日常から花に触れる機会を増やしてもらい、花が非日常ではなく、何でもない日にも花を贈れるよう、需要を喚起していきたいと考えている。
(桜木浩己)