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お遍路文化、若者に継承 資料展示施設で研究支援

四国の原風景とも言える「お遍路」文化の継承に向けて、個人の研究活動をサポートする取り組みが始まった。関連資料が展示されているおへんろ交流サロン(香川県さぬき市)では希望者の研究テーマに対して、館長自ら助言する。遍路客が減少傾向にある中、若者の興味関心を掘り起こすことで地域を代表する習俗を将来に残していく。

香川県で生まれたとされる弘法大師ゆかりの88寺院をめぐる四国遍路は、11世紀後半~12世紀前半に原型が生まれ、17世紀には現在の形になったとされている。おへんろ交流サロンには19世紀前半の納経帳や文献資料など約1200点が納められている。87番札所の長尾寺から、88番札所の大窪寺に向かう県道沿いに位置するため、巡礼途中の遍路客などが訪れる。

20年に館長となった片桐孝浩さんは、香川県で遍路の世界遺産登録推進に関わってきた。お遍路さんが年々減少し、施設の訪問者数も落ち込んでいくことに危機感を抱く。「お遍路をしていた世代が高齢化する中で、若い世代の人には文化などが伝わっていない」(片桐館長)。若者への情報発信を強化するため、遍路研究のサポート事業を始めた。

小中学生の自由研究や大学生の論文などを想定する。テーマの提案から関連する史跡視察の同行、参照するべき文献の紹介など希望者のニーズに応じてアドバイスする。事前予約は必要だが費用はかからない。

展示内容にも手を加えてきた。まずは歴史について知ってもらおうと常設展ではお遍路の通史で紹介する。暑さ、寒さから遍路客数が落ち込む夏と冬には企画展を開催し、年間通じて客数が安定するよう工夫した。保管されている資料などを全て並べることはできないため、館内の一部スペースを4ヶ月に一度、展示し直すようにする。

周辺地域の散策マップも作成した。遍路に関連した史跡の紹介だけでなく、四季を感じることのできる景勝地や、飲食店情報なども合わせて掲載している。札所のみを訪問することが多いため、地域のおすすめスポットについても発信することで、近隣での経済活動活性化にもつなげていきたい考えだ。

お遍路は時代に合わせて道や精神性、スタイルが変わってきているという。一方でお遍路さんに食べ物や飲み物を無償で施す「お接待」の心は変わらない。片桐館長は「自覚はないとしても、お接待の精神が四国の人には根付いていると思う。取り組みが継承の一助になれば」と話す。(桜木浩己)

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