水素の高速充塡研究 NEDO、福島・浪江で施設開所
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、トラックなどの大型車両に大量の水素を高速充塡する技術開発を本格化する。福島県浪江町に研究施設を整備し、このほど運用を始めた。2027年度をメドに、安全かつ短時間に充塡する手順などの確立を目指す。

産業技術総合研究所や日本自動車研究所、充塡装置メーカーなど6団体・社がNEDOの助成を受けて研究を担う。水素燃料の大型トラック、トレーラー、鉄道などの普及に備え、安全に充塡するための基準をつくる。
水素は急速充塡すると容器の温度が大幅に上がる。大型車両は容器が大きく、内部の温度が不均一になるのも課題だ。研究では充塡を繰り返してデータを蓄積。あらかじめ冷却する水素の温度、外気温、容器内圧力などを基に最適な充塡条件を見極める。
現在の商用ステーションは水素5キログラムの充塡に3分程度かかる。研究施設の設備は80キログラムの水素を約10分で充塡できる。充塡装置1台に2つのノズルを備え、充塡速度を高めた。大型車向け水素ステーションの商業展開などを見据え、大量・高速充塡する際の計量精度を検査する装置の開発も進める。
施設は浪江町沿岸部にあり、敷地は2ヘクタール弱。研究で使う水素は、隣接する福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)から主に調達する。設備費などを含む20~22年度の総事業費は約50億円。

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