東京都内の重症者1週間で7割増 6割は40~50代

東京都が12日に開いた新型コロナウイルスのモニタリング会議で、8月11日時点の重症感染者(都基準)が197人と前の週から7割増えたことが報告された。都はすでに病院で投与を始めている軽症・中等症向けの治療薬「抗体カクテル療法」を一部の宿泊療養施設でも使用するなど重症化防止を進める。
重症患者は感染第3波を超え、過去最多となっている。年代別では40代と50代が6割を占める。病床使用率も50%を超えており、会議に出席した都医師会の猪口正孝副会長は「通常医療を含めた医療提供体制が深刻な機能不全に陥っている」と訴えた。
小池百合子知事は重症者の増加を抑制するため、会議後に軽症・中等症向けの治療薬「抗体カクテル療法」の活用を進める方針を表明した。コロナ患者を受け入れる都内の病院のうち、約120カ所で投与できるようにするほか、都立・公社病院に同薬の専用病床を20床程度確保する。
さらに一部の宿泊療養施設で同薬の使用を開始する。点滴投与のカクテル療法は投与後24時間の経過観察が求められており、政府は入院時の使用に限るとしていた。小池氏は医師が宿泊療養施設に常駐する形にすることで、条件を満たすメドが立ったと説明した。
同日の会議ではこのほか、容体が急変した自宅療養者を都立・公社病院で一時的に受け入れる搬送困難者向けの入院待機ステーションの整備や都医師会などと連携した自宅療養者の訪問診療体制の強化などを進めることも明らかにした。
ただ、こうした体制整備を進めても「感染者を減らさないことにはこの状況は乗り切れない」(猪口副会長)。4度目の緊急事態宣言が7月12日に発令されてから1カ月が経過したが、8月11日時点の新規感染者数(1週間平均)は約3934人と前週の約3443人から14%増え、減少に転じる兆しはみえない。
新規感染者数と相関性のある繁華街の夜間滞留人口(午後6時から午前0時)は、宣言から4週間で27%減にとどまる。滞留人口を年代別にみると、40~64歳が15~39歳をおおむね上回っており、東京都医学総合研究所の西田淳志・社会健康医学研究センター長は「お盆期間中に人流をもう一段下げきることが必要だ」と指摘した。

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