アイリス社長「国内回帰」強調、巣ごもり減速で初減収 - 日本経済新聞
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アイリス社長「国内回帰」強調、巣ごもり減速で初減収

アイリスオーヤマ(仙台市)が12日発表した2022年12月期決算(速報値)は、グループ全体の売上高が前の期比2%減の7900億円だった。グループ売上高では初の減収となった。新型コロナウイルス禍による巣ごもり需要が減速。主力の家電販売は中国のサプライチェーン(供給網)混乱や、円安による輸入コストの増加で採算が悪化した。大山晃弘社長は国内回帰を進める方針を強調した。

「世界中の巣ごもり需要が減速し、かなり苦戦した一年だった」。同日の記者会見で大山社長はこう総括した。売上高は、期首時点の見通し(9800億円)から大きく下振れた。調理家電を筆頭に、コロナ禍で大きく伸びた消費者向けの商品販売が減速。マスクも欧米を中心に着用習慣が薄れたことで販売が鈍った。

減収の最大の要因は、急成長をけん引してきた家電事業の失速だ。主力生産地の中国では、当局による「ゼロコロナ政策」で半導体や電子部品の調達が難航。ロックダウン(都市封鎖)で協力工場が稼働できず、新製品の市場投入も大幅に遅れた。物流の混乱で宅配が滞り、電子商取引(EC)も失速したようだ。

経常利益は29%減の365億円と2期連続の減益だった。プラスチックなど原料価格の高騰に加え、円安やコンテナ不足で中国から国内への輸送コストが大幅に増え利益を圧迫した。ここ数年の積極的な設備投資による減価償却費の増加もあり、経常利益率は1.7ポイント低下した。原料高を背景に、22年5月には約6000品目(消費者向け商品の6割相当)を1割値上げしたものの、消費者の節約意識の高まりから販売減につながった。

値上げの浸透や中国市場の正常化を見込み、23年12月期の売上高は前期比14%増の9000億円を見込む。物価高の長期化により消費マインドが低下するなか、低価格帯の小型家電のラインアップを増やすほか、住宅設備など新規分野の開拓も進める方針だ。同社はこれまで売上高1兆円を目標に据えてきたが「今後は着実な成長を目指す」(大山社長)として事実上、棚上げした。

国内回帰をめぐって同社は22年8月、中国で生産しているプラスチック製の収納容器約50品目を国内3工場での生産に切り替えている。大山社長は「収納容器を中心に国内回帰を進めるとともに、投資の国内回帰も進める」と話した。

1月中には静岡県裾野市の採水工場を取得する方針を明らかにした。これまでは中国など海外拠点への設備投資を増やしてきたが、地政学リスクの高まりなどを受け国内での生産能力の拡充を進める方針を鮮明にした。

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