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石川県の産学官、林業DX支援アプリ ドローン&AI

石川県と金沢工業大学が中心となった産学官が人工知能(AI)を活用し、森林の情報を「見える化」するシステムを開発した。ドローンの航空写真などを分析し、森林境界の明確化や木材資源量の把握を支援する仕組みで、アプリとしての製品化を目指す。林業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を後押しするのが狙いだ。

石川県などがドローンで森林の様子を撮影した

石川県の林業試験場、金沢工大、石川県森林組合連合会、アプリ開発のエイブルコンピュータ(金沢市)が2018年度から研究に取り組み、システムの開発につなげた。所有者の高齢化で現地の立ち会いが難しい場合などの森林境界の明確化を後押しするのが目的だ。

ドローンは高さ30メートルの森林の場合、高度120メートル程度から撮影する。ひずみを補正した画像をシステムに取り込むと、AIが自動的に解析し、スギやヒノキ、広葉樹林などの樹種ごとに分類。地形情報や図面などと組み合わせることで表示し、境界の推計に役立てる。

樹種ごとに色分けして表示できる

森林資源量の把握には、360度の全天球画像も活用する。カメラを持った人が森林に入り、おおむね10メートル間隔で撮影する。この画像をシステムに取り込むと、AIが解析し、樹種ごとの資源量の推計を示す。

石川県内で試したところ、ほぼ利用できるレベルに達したという。県林業試験場によると、人手による樹種の調査は1日5人で1ヘクタール程度にとどまる。全天球画像やドローンを使ったシステムの場合、大幅に省力化できる。

21年度にも石川県内の森林組合などで実証運用を始める。さらに金沢工大が中心となり、全国で対応できるようなアプリを22年度にも製品化する計画だ。主に森林組合などの林業経営体を対象に、できるたけ低価格で提供する。

パソコンへのインストール作業が要らないウエブアプリを想定しており、自宅でのテレワークなどにも対応できる。さらなる省力化を支援するため、ドローンに全天球画像カメラを取り付け、森林内で撮影する実証も本格化させる。

農林水産省が2020年に林業経営体に実施した調査によると、森林の境界の明確化が進まない理由(複数回答)は「自分の山がどこか分からない人が多い」が54%と最も多く、「高齢のため現地の立ち会いができないから」の32%と続く。

境界が不明確な森林の存在が問題になっている。米国発の「ウッドショック」による木材価格高騰の影響もあり、国内の林業資源の重要さが指摘される。金沢工大の担当者は「国内の林業資源の活用は重要。林業のDXに貢献するアプリを全国に普及できる可能性は高い」としている。

(石黒和宏)

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