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麦や酵母…小豆島素材100%のビール 偶然重なり実現

オリーブの島として知られる小豆島の素材を100%使用したクラフトビールが誕生した。大麦やホップの島内生産は進んでいたが、醸造所「まめまめびーる」(香川県小豆島町)の中田雅也氏は酵母探しに苦労していた。幸運にも、島特産のしょうゆを造ってきた老舗の地道な研究が、最後のピースを埋めた。

2016年に大阪から移住してきた中田氏は島の集落営農組織と協力し、17年から大麦を、19年からはホップの栽培を始めた。水を酸性化するために使う炭にもオリーブの木を取り入れるなど、島素材100%のビールに強いこだわりがあった。

しかし醸造に必要な酵母はめどが立たない。醸造所の敷地内にある葉や実から、ビールに使えそうな酵母を探してみたこともあった。松から酵母が偶然見つかり喜んだのもつかの間、醸造所から外に飛散した酵母だったのではないかという笑い話もあった。

しょうゆの製造・販売を手がけるヤマヒサ(同)の松井幸一氏は、自社製品などに活用するためオリーブの花から採取した酵母を研究していた。奈良や長野の酒蔵で修業した経験を持つ松井氏は13年、しょうゆの醸造に適したオリーブ花酵母を使ったしょうゆ「花醤(はなびしお)」を開発。より幅広い用途に向くオリーブ花酵母を見つけようとしていたところだった。

中田氏が買い物に出かけた際、この花醤が目に止まる。オリーブ花酵母のことを知りビール作りに試してみたところ、発酵力がビールに使われる酵母よりも弱いため、アルコール度数は3%ほどに。「このまま低アルコールビールでいこうか」(中田氏)との考えもあったという。

酵母は菌を採取して培養し、その種類を確認するという地道な作業が必要になる。偶然に幸運が重なったのか、松井氏は発酵力が強いオリーブ花酵母を20年に見つけることができた。試作してみるとアルコール度数は6%。「好きでたくさんビールを飲んできたが、その中でも際立っておいしかった」(松井氏)

こうして生まれた小豆島原料100%のビール「SHODOSHIMA 100」(330ミリリットル、880円)は夏に飲みやすいスッキリとした味わいに。島内にある、まめまめびーるの店舗で300本を販売する。

ビールに使われたオリーブ花酵母は発酵力が強いため、アルコールが発生する際に香り成分が多くでるようで「華やかな香りと、オリーブを思わせるほのかな渋み」(中田氏)が生まれるという。この酵母は汎用性が高いことから島内のベーカリーではパン生地の発酵にも使われており、さらに用途を広げていきたい考えだ。

オリーブ花酵母を研究してきた松井氏も島外からの移住者。ビール、しょうゆに向き合ってきたそれぞれの探究が、小豆島で一杯のビールに形を変えた。飲むシチュエーションを大切にしてきた中田氏は、小豆島で味わってもらうのが最高だと胸を張る。(桜木浩己)

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