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地方圏の公示地価、2年ぶり上昇 半数が上昇・横ばいに

国土交通省が22日発表した2022年1月1日時点の公示地価の全国全用途平均は2年ぶりに上昇した。地方圏も2年ぶりに上昇した。新型コロナウイルスの影響が徐々に和らぐ中で、地点の半数が上昇・横ばいに転じるなど、全体的には回復傾向が見られた。一方、三大都市圏はいずれも上昇したものの、大阪圏の上昇率は比較的低かった。

東京圏

商業地は0.7%上昇した。上昇は2年ぶり。東京都内は23区のうち20区が上昇に転じた。景況感の改善や生活様式の変化を背景に、日用品などを扱う店舗やマンション用地への需要が高まった。

23区の上昇率トップはJR中野駅周辺で再開発が進む中野区だった。1~2階を店舗や事務所として上層階をマンション利用できる地点が多い杉並区と荒川区が続いた。国交省は「住居に近接する店舗で買い物する需要から上昇に転じた」としている。

一方で、新型コロナの影響により飲食店やオフィスが集積する中央区、千代田区、港区では下落が継続した。国内外の来訪客の回復が遅れており、収益性の低下が継続している。

住宅地は0.6%上昇。都内は23区全体が上昇した。港区と目黒区は上昇率が拡大し、マンション取得意欲が旺盛で住宅需要は堅調だった。都心中心部から周辺の交通利便性の優れた地域にも需要が広がった。

大阪圏

商業地は前年の1.8%下落から横ばいに転じた。大阪市は1.1%下落した。昨年の4.4%下落よりは改善したが、訪日客に人気だったミナミ地区の下落が目立ち、道頓堀の地点では下落率が15.5%で2年連続全国トップ。下落率全国上位10位のうち、8地点を大阪市が占めた。

京都市は前年の2.1%下落から0.7%上昇に転じた。観光地が多い東山区が前年の6.9%下落から0.2%上昇となるなど、国内観光客の回復が見込まれる地区で改善した。

住宅地は0.1%の上昇で、2年ぶりに上昇に転じた。大阪市は0.6%の上昇。天王寺区や中央区など中心部にアクセスが良い地区でマンション需要が高まった影響を受けた。神戸市は0.2%の上昇。JR摩耶駅前に商業施設が開業し、鉄道の利便性も良い灘区で上昇が目立った。京都市は0.5%の上昇となった。

名古屋圏

商業地は1.7%上がった。上昇は2年ぶり。再開発が活発な繁華街「栄(さかえ)」地区で地価の上昇が目立った。上昇率の大きい上位地点のうち、栄地区が4地点を占めた。上昇率トップは、再開発が計画されている「栄第一生命ビルディング」の地点だった。

住宅地は1.0%上昇とプラスに転じた。高級マンションの建設が相次ぐ名古屋市東区泉1丁目の地点は15.8%上昇した。住宅地の平均価格の上位には自動車産業が盛んな刈谷市や安城市が入った。南知多町の一角は下落率が7.3%と全国でも2番目に下げた。少子高齢化や空き家の多さが地価を押し下げた。

地方圏

商業地は0.2%上昇と2年ぶりにプラスとなった。中心的な地方4市「札幌、仙台、広島、福岡」のうち、21年に下落した広島市も上昇に転じた。福岡市は9.4%と上昇率が拡大した。

福岡市は再開発促進策として繁華街の天神周辺で「天神ビッグバン」、JR博多駅周辺で「博多コネクティッド」を進めている。地区内は価格が高止まりとなっているため割安感がある地区の外れや近接する地域でオフィス需要が高まった。マンション需要も競合して高い上昇率を示した。

住宅地は0.5%上昇した。地方4市の中でも札幌市は9.3%と上昇率が大幅に上がった。全国で上昇率上位100位中96カ所は北海道の地点。札幌市と周辺では人口集中により住宅地の需要が広がる。同市との価格差が大きい北広島市、江別市、石狩市などは割安感があり住宅地取得につながっている。国交省は「札幌市に近い石狩川より南側や千歳線の沿線で大きく広がった」と指摘する。

東京の赤坂地区、住宅地で5年連続首位


全国住宅地の地価高額地点では東京都港区の高級住宅街にある地点「赤坂1-14-11」が1平方メートル当たり500万円と5年連続で首位だった。上昇率は3.3%に拡大した。上位10位で上昇率が最も高かったのは、同289万円と5.9%上昇した渋谷区恵比寿西2-20-7だ。
三大都市圏の住宅地平均価格を市区別にみると、東京圏の最高は高級住宅街の通称「番町」を抱える東京都千代田区が同270万4300円。大阪圏は大阪市西区が70万3000円、名古屋圏は名古屋市中区が同93万8600円だった。
▼三大都市圏の範囲 東京圏は東京都区部全域と多摩地区(奥多摩町、檜原村を除く)、神奈川県の一部(横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市など)、千葉県の一部(千葉市、船橋市、市川市、浦安市など)、埼玉県の一部(さいたま市、川越市、川口市、越谷市など)、茨城県の一部(取手市、守谷市など)。
大阪圏は大阪府全域と兵庫県の一部(神戸市、尼崎市、西宮市など)、京都府の一部(京都市、宇治市など)、奈良県の一部(奈良市、天理市など)。
名古屋圏は愛知県の一部(名古屋市、一宮市、岡崎市など)と三重県の一部(四日市市、桑名市など)。
それぞれ首都圏整備法や近畿圏整備法、中部圏開発整備法などの対象地域を指す。
2022年公示地価のあらまし
①標準地の設定対象地域
市街化区域および市街化調整区域に区分された都市計画区域約5万2182平方キロメートルと、その他の都市計画区域約5万688平方キロメートル、都市計画区域外の公示区域。対象は1376市区町村で、内訳は東京23区、787市、528町、38村(東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う避難指示区域内で調査を休止した2町を含む)。
②標準値の設定数
市街化区域2万557地点、市街化調整区域1379地点、その他の都市計画区域4044地点、都市計画区域外の公示区域20地点の計2万6000地点。このうち福島第1原発事故の影響で7地点は調査を休止している。市街化区域の用途地域別地点数と地点分布密度は以下の通り。
住宅地と宅地見込地=1万4372地点で東京、大阪、名古屋の三大都市圏と地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)は約0.6平方キロメートル当たり1地点。それ以外の地方圏は約1.1平方キロメートル当たり1地点。
商業地=5191地点で約0.6平方キロメートル当たり1地点。
工業地=994地点で約3.7平方キロメートル当たり1地点。
③標準地の選定基準
標準地の公示地価は一般の土地取引価格の指標になるだけでなく、公共事業用地の取得価格算定や、国土利用計画法に基づく土地取引規制における土地価格審査の基準にも使われる。このため、標準地は特に次の点に留意して選定されている。
代表性=当該区域全体の地価水準をできる限り代表し得るものであること。
中庸性=近隣地域での土地の利用状況、環境、面積、形状などが中庸のものであること。
安定性=近隣地域での安定した土地の利用状況に配慮したものであること。利用状況が移行している場合はその変化にも十分に配慮したものであること。
確定性=明確に他の土地と区別され、範囲が特定できるものであること。
④価格の判定
公示対象は毎年1月1日における標準地の単位面積当たりの正常な価格。売り手にも買い手にも偏らず、客観的な価値を表す。正常な価格の判定は標準地に建物がある場合は建物がないもの、つまり更地として行われる。各標準地について2人以上の不動産鑑定士の評価を求めて結果を審査し、必要な調整を行って判定する。2022年の地価公示では不動産鑑定士2348人が鑑定評価に携わった。
⑤公示方法
23日付の官報で公示される。公示地価などを記載した書面は地図とともに関係市町村(東京23区と政令指定都市は区)の事務所などに備えられ、誰でも自由に閲覧できる。国土交通省不動産・建設経済局のホームページ(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/index.html)でも閲覧可能。

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