/

ますずしを自販機で 北陸の企業、コロナで売り方模索

北陸の食品企業がコロナ禍で販売手法を探っている。ますずしの源(富山市)は自動販売機を使い始めた。小規模生産用の充塡装置を導入して缶ビールに参入したクラフトビール会社や、持ち帰りパフェの店を百貨店に出した人気パフェ店もある。個人や家庭用の需要を開拓しようと、消費者が手に入れやすい販路やパッケージを採用している。

源は店舗を閉める夕刻から翌朝に自動販売機で売る(富山市内の店舗)

源は富山の名産品であるますずしの最大手。8月、北陸自動車道の富山インターチェンジ(IC)に近い店舗で自販機を導入した。午後4時から翌朝の午前10時(土休日は午前9時)の間、店舗と同様の1500円で買える。自販機は飲料用を改造した機械を使った。

「自販機で売り始めたという情報が伝わり、徐々に購入客が増えている」(同社)。手土産用や外食の代わりに地元客が購入しているとみられる。

外出自粛で観光客や出張者の購入が減った。その分、店舗運営の効率を上げることが求められる。新型コロナウイルスの感染拡大が続く間は、午後7時まで開けていた店舗の閉店を早め、深夜時間帯も含めて自販機で売ることにした。

残業を減らす狙いもある。店舗は365日営業で繁忙期には超過勤務になることも多い。自販機の活用で夜遅い時間などの勤務を軽減する。同県の黒部市や砺波市の店舗でも10月上旬に導入する方向だ。

クラフト缶ビール、米国製設備を活用

消費者庁の2021年版消費者白書によると、20年の家計における財・サービス支出の項目別比率で旅行を含む「教養娯楽」は19年の7.2ポイントから5.2ポイントに、「外食」は5.5ポイントから4.2ポイントに低下した。

一方、外食を除く食料は24.6ポイントから27.2ポイントに上昇している。食品企業は、観光客や外食向けに依存せず、地元客や家庭用の需要をつかめれば活路がありそうだ。

クラフトビールの城端麦酒(富山県南砺市)は7月、350ミリリットルの缶ビール8種類を発売した。コロナ前までは、出荷数量の9割を首都圏など富山県外の外食店に出荷する樽(たる)入りビールに頼っていた。

城端麦酒は店舗に併設する工場で缶ビールを生産している(富山県南砺市の直営店)

コロナで外食店の需要は減り、20年9月期の売上高は約6000万円と前の期比3割程度減少した。従来から手で詰めて売っていた瓶ビールか、未経験の缶ビールで家庭向け商品を強化しようと考えた。だが、大手ビール会社が使う1分間に1000本以上充填できる大規模設備を買う資金はない。

着目したのがクラフトビールが普及する米国製の充填装置だ。充填本数は毎分24本で、同社の規模では十分だった。同県南砺市の直営店やネットで販売し、8月の実績は1万本と年間4万本だった瓶入りの販売ペースを上回る。今後も「リピーターを飽きさせない商品を作る」(山本勝取締役工場長)と個人の固定客を意識した戦略を進める。

パフェ、移動販売車や新幹線輸送も活用

金沢市の中心部でパフェ店を営むフルーツむらはた(金沢市)。コロナ禍以前の休日には、開店前に多い日で30人近くが並ぶ人気店だった。8月中旬、約1キロメートル離れた百貨店の大和香林坊店(同)に、持ち帰りパフェの店を出した。週末には200~250個が売れるという。

フルーツむらはたは持ち帰りパフェの店を百貨店の大和に出した(金沢市)

20年4月、市内の観光スポットに出店し、観光客用に持ち帰りのパフェを出す計画があった。パフェのアイスクリーム部分をババロアや生クリームで代替し、持ち帰り用にして自社の店舗で売り始めた。21年3月には移動販売車も導入し、イベント会場や住宅展示場で売った。

持ち帰りパフェの効果で、21年8月期の売上高は前の期を8%上回ったという。6月からは北陸新幹線で運んだパフェを東京都内の商業施設などで期間限定で売る試みも始めた。村端一男社長は「自社のリソースが生かせる事業を見いだせた」と話し、持ち帰りパフェの増産へ従業員のやりくりなどを進めている。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

関連企業・業界

企業:

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン