スズキ、EV向け2段変速機をカナダ新興企業と共同開発
スズキは10日、電気自動車(EV)の変速機をカナダのスタートアップ、インモーティブと共同開発すると発表した。インモーティブはEV向けに2段変速機を開発しており、速度変化に適応し電気モーターの駆動効率を高める技術を持つ。航続距離を延ばしつつコストを抑えられるため、軽など小型のEVの商品化に資すると判断した。
インモーティブとは2022年12月に、EV向け2段変速機の共同開発契約を結んだ。具体的な対象車種や搭載時期は明らかにしていないが、軽自動車が中心の国内向けや主力市場のインドなど海外向けと地域を問わずに導入を目指す考え。スズキは23年度中にまず軽商用車でEVを発売し、25年にはインドでEVの生産を始める予定だ。

インモーティブはカナダのトロントで10年に設立され、独自の2段変速機「インギア」を開発。高速走行時と低速走行時とでギア比を変えてモーターの駆動効率を高め、固定ギア比の減速機を使うEVより航続距離を延ばす。同社は最大15%延びると説明する。駆動装置の小型化でコストが低減、幅広い場面での走行性能改善にもつながる。
スズキも社内でEVの駆動装置を開発してきたが、インモーティブの技術が「小型でシンプルな点で魅力的」とみて共同開発に踏み切った。小型EVではコスト抑制のほか車内空間確保のために電池搭載量を絞りつつ必要な航続距離を実現できるかがカギを握る。既存顧客が「違和感なく乗り換えられる」(鈴木俊宏社長)性能も重視する。

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