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青森・おいらせ町、手厚い相談体制で介護給付減

データで読む地域再生 東北

2001年度と18年度の高齢者1人当たり介護給付費を比較すると、東北6県の自治体で給付を減らせたのは青森県おいらせ町だけだった。給付費増は財政を圧迫する。人口減少と高齢化が急速に進むなか、いかに伸びを圧縮するか。それぞれ独自の取り組みをテコに、抑制につなげるケースも少なくない。

おいらせ町では介護保険申請の窓口の手厚い相談体制が奏功している。まずは介護福祉課の担当者が申請にきた町民の生活実態を丹念に聞き取る。必要があれば保健師が自宅を訪問し、暮らしぶりも見せてもらう。

その上でケアプランを作成する地域包括支援センターの職員も交え、介護保険利用の必要性を検討する。まだ介護保険を使う必要がないと判断した人には、申請の代わりに介護予防法を丁寧に伝える。町や自治会が手掛ける筋トレ教室を紹介するなどし、保険利用を先延ばしできるよう促す。「要介護状態にならないよう、きめ細かくフォローしている」(介護福祉課)

介護給付費の抑制には、高齢者の健康寿命をいかに延ばすかがカギになる。給付費の伸び率が22.7%で全国平均の45.6%を大きく下回る青森県五戸町では、高齢者の「外出支援」に積極的に取り組む。

同町では7月から8月10日まで、75歳以上の町民が家族や知り合いなどと2人以上でタクシーを利用した場合に料金を半額にする「町タクおでかけタクシー」の実証実験を進めた。すでに料金100円のコミュニティバスを運営するが、路線が限定されているためだ。

このタクシーでより移動しやすくなる。同乗者に年齢制限はなく、孫や近所の若者らを誘って外食などにも使える。高齢者の孤立を防ぎ、「心身とも長く元気に暮らせる支援につなげたい」(同町総合政策課)。今後、町の制度になるよう検討していく。

青森県では介護給付費の伸びを抑えている市町村が多い。平均寿命が全国平均を下回り、「短命県返上のため健康維持対策を進めることが優先課題になっている」(県高齢福祉保険課)。

宮城県大河原町は介護給付費の伸びを5.5%に抑えた。同町が抑制につながっていると分析するのが、06年に設置した地域包括支援センターの存在だ。外部に委託するケースもあるが、町が直接運営する。介護予防プランは保健師を中心に全て自前で作っており、「健康増進、介護予防、自立支援の視点が統一された」(福祉課)とみる。

支援センターの職員は役場の窓口で健康や介護について相談を受け付けたり、社会福祉協議会の職員と一緒に高齢者世帯を訪問したりする。住民の身近な存在として、介護予防に向けて心身の状況把握に努める。

秋田県小坂町も健闘している。65歳以上の住民が占める比率が46.2%と県内で7番に高いが、給付費の伸び率は27.5%と全国平均を大きく下回る。介護が必要と認定される「要介護認定率」は大潟村に次ぎ2番目に低い15.0%にとどまる。

その背景の一つに町が06年から独自に取り組んできた「お元気くらぶ」の活動がある。町の保健師と介護士が2人1組になって各自治会に毎月1回赴き、介護予防の体操指導や相談にあたる。高齢者の運動機能維持や定期的に体を動かす習慣を保つためだ。20年度は全体の4分の3にあたる32自治会を訪問した。

「保健師らが訪れない日でも自主的に住民が集まり、体を動かす自治会が出てきた」。時間をかけ介護予防を進めてきた住民の意識変化に、町福祉課の児玉奈緒さんは手応えを感じている。

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