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東光鉄工、リンゴ農家の授粉支援 ドローン活用

鉄骨加工の東光鉄工(秋田県大館市)は小型飛行機のドローンを使い、リンゴ農家の授粉支援事業に乗り出す。花粉入りの溶液を散布し、効率的に授粉する手法を共同開発。省力化により人手不足や高齢化が進む農家の負担軽減につなげる。2024年春をめどにこうした手法に適した生育管理や技術指導の体制を整える計画だ。

名久井農業高と連携し、ドローンを使いリンゴに効率的に授粉する手法を開発した(青森県南部町)

東光鉄工は14年に産業用ドローンの研究開発を始め、16年に農薬散布に使うドローンを製品化した。リンゴなど果物栽培が盛んな青森県南部町にある県立名久井農業高校と4年にわたり共同研究。ドローンを使って効率的にリンゴに授粉する手法を開発した。

具体的には、花粉管の伸長を促すホウ素を溶かした溶液に花粉を混ぜた。この溶液が飛散しないよう木の上部1メートルほどの高さからドローンで散布した。枝の剪定(せんてい)も工夫し、重なり合う枝を少なくすることで木の下部にも満遍なく実がなる結実率を高めた。

ドローンは同社が開発してきた農薬散布用をベースにした。ノズルから溶液を散布する際に花粉が目詰まりを起こさないよう噴出口の口径を改良した。効率的な授粉を目指してノズルの位置や向きを調整し、ドローンで上から下に送る風量も増やした。

東光鉄工と名久井農業高の実験では、手作業でリンゴの木66本に授粉すると約3時間かかる。だが、同社が改良したドローンでは15分ほどで作業を終えた。自然受粉では結実率が約1割にとどまるのに対し、ドローンを使った授粉では最大61.2%だった。手作業(61.6%)と遜色ない結果を得た。

リンゴ栽培の現場では高所や中山間地の斜面など足場が悪い環境で作業することも多い。授粉作業では養蜂家に依頼してハチを園内で放したり、専用の授粉棒を使って手で行ったりする。こうした作業は多くの手間暇や費用がかかり、収穫まで作業工程が多い農家にとって大きな負担になっている。

リンゴの枝の幅に合わせてノズルの位置を変えられるようにしたドローン(秋田県大館市)

共同研究をもとに東光鉄工は今秋、授粉作業に対応したドローンを発売する。リンゴの木の枝の幅に合わせ、溶液を噴出するノズルの位置を調整できるようにした。価格は200万円台を予定。稲作とリンゴ栽培を複合経営する農家であれば、稼働期間が増えて採算に合うとみる。

同社は24年春をめどにリンゴ農家の授粉支援事業に乗り出す。ドローンを使った授粉作業では、満遍なく結実率を高めるため重なり合う枝を少なくする必要がある。こうした枝の剪定など樹木を管理したり生育させたりする技術を確立し、助言できるようにする。

同社によると、花粉はおよそ10グラムで約5000~8000円と高額だ。このため、花粉の採取方法や溶液の作り方、散布法も含め技術指導できる体制整備を進める。ドローン販売に加え、他社との連携も探りながら農家の授粉支援まで事業領域を広げていく計画だ。

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