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福島・磐梯山、ジオパーク認定10年 観光で模索続く

福島県の会津地方の磐梯山は夏はキャンプ、冬はスキーと一年中多くの観光客が訪れる。リゾート地として知られる一帯が、地質や地形的な特徴に注目した名所である「日本ジオパーク」に認定されて今秋で10年になった。観光地として多様化する一方で新たな模索も続いている。

磐梯朝日国立公園を構成する裏磐梯の代表的な観光名所は五色沼だ。鉱物を含んだ水が太陽光を反射し、明るいブルーやグリーンなど沼ごとに神秘的な色彩をつくりだす。散策路が整備されており、秋の紅葉シーズンをはじめ一年中多くの人が訪れる。

近年人気を集めているのが本格的な登山の装備でガイドに率いられて訪れる地質的なスポットだ。

「磐梯山の地質や地形を目的にした新しいツアーや体験学習が年を追うごとに増えている」。自然解説などを手掛ける裏磐梯ビジターセンター(福島県北塩原村)の担当者はこう話す。

厳冬期に磐梯山の火口近くに現れる黄色い氷の滝「イエローフォール」は、地中からしみ出した硫黄分や鉄分が凍り、高さ10メートル前後の黄金の氷壁になる。

全国から地質ファンや山の愛好家が集まり、毎シーズン千人前後を現地に引率するガイド会社もあるという。

標高1816メートルの磐梯山の山頂近くに広がる火口壁の荒々しい姿は1888年の激しい噴火の様子を今に伝える。

スキー場の上にある銅沼(あかぬま)は鉄やアルミニウムが溶け込んだ強酸性の水で周囲は赤茶けた景観が広がる。5年ほど前、タレントのタモリさんが地質的な名所などを巡るテレビ番組「ブラタモリ」で取り上げたことで知名度が高まった。

日本ジオパーク委員会から磐梯山地域(福島県の北塩原村、磐梯町、猪苗代町)が日本ジオパークに認定されたのは2011年9月。秋田県の男鹿半島・大潟と同時だった。

東北では認定の第1陣となっただけに地質的な資源の豊かさは折り紙付きだ。

保全、学習、観光などの目的を持つジオパークとしての知名度が上がれば「様々な面で地域振興につながる」(北塩原村役場)と地元の期待は大きい。ジオパークを巡るルートの整備や学校教育への活用などを進めている。

ただ19年の再認定審査では両パークとも条件付き再認定とされた。磐梯山の場合、地域との連携の強化や拠点施設の整備に向けた課題が指摘された。

魅力的なジオパークづくりに向けた一層の努力を求められた格好で、再審査の結論が年内にも出る見通しだ。

磐梯山は133年前に大規模な水蒸気爆発を起こし山体の崩壊などで477人の犠牲者が出た。大半の遺体が発見されなかったといい、地元では今でも慰霊祭を開いている。

磐梯山は噴火が生んだ観光名所を多く持つと同時に被災の記憶を引き継ぐ慰霊の場でもある。両者のバランスを取りながら観光振興を進める手探りが今後も続きそうだ。

(村田和彦)

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