群馬大学など、O157の無毒化に成功 治療法発展に期待
群馬大学は、重度の食中毒を引き起こす腸管出血性大腸菌O157の無毒化に成功したと発表した。主に工業用として使用されており、表面に多数の穴があいている多孔質炭素が、O157が産生する病原性たんぱく質を吸着することを発見した。O157による食中毒の予防や治療法の発展につながることが期待されるという。
同大大学院医学系研究科細菌学講座の平川秀忠准教授らの研究グループが化学品メーカーのクレハなどと共同研究した。O157が出し、重症化を引き起こす原因とされるベロ毒素などの病原性たんぱく質を解毒するため、均一の大きさの穴を持つ多孔質炭素を使った。O157の培養液に同炭素を添加すると、病原性たんぱく質が吸着され、無毒化することができた。
O157の代替菌に感染させたマウスを使った実験では、多孔質炭素を経口投与したマウスは投与していないマウスに比べて、症状が緩和され、長く生き延びた。副作用なども観察されなかった。
O157に代表される腸管出血性大腸菌は食中毒の原因菌として知られ、感染すると重度の下痢に加え、急性腎不全や急性脳症を併発して重症化することもある。群馬大学によると、O157による感染症の重症化の予防法や根本的な治療法は確立されていないという。
関連企業・業界
企業: