北陸の地銀、従業員にインセンティブ付与 福井銀行も
北陸の地銀で従業員にインセンティブ(動機づけ)を付与し、企業価値の向上を目指す制度の導入が相次いでいる。福井銀行は9日、職員に経営への参加意識を高めてもらうため信託型の職員持ち株プランを導入すると発表した。北国フィナンシャルホールディングス(FHD)や富山第一銀行も士気向上を狙う制度を導入し、企業価値の向上が職員に具体的な報酬の形として見えるようにして競争力の強化を図る。

福井銀が取り入れるのは野村証券と野村信託銀行が開発したスキームだ。信託銀行が2月14日から22日まで6億8300万円を上限として福井銀の株式を市場から取得し、職員の持ち株会に計画的に売却する。2028年の信託終了時に利益分が余っていれば、持ち株会員に分配される。
目的は経営参加への動機づけだ。株主などのステークホルダーの評価で株価が上昇すれば自らの利益につながる。経営への寄与が従業員のメリットになりうる。
同じ狙いで富山第一銀は22年12月、職員持ち株会を割当先に約7600万円の自己株式処分を発表した。北国FHDも22年4月、業績が基準に達した場合、通常の給与とは別に従業員に対して譲渡制限付株式を付与すると取締役会で決議した。北国FHDはPBR(株価純資産倍率)1倍以上を目標としている。
いずれも個人の能力を企業の競争力の源泉とする「人的資本経営」に資する制度だ。労働意欲をただ高めるだけでなく、リスキリング(学び直し)への意欲を誘う側面もある。従業員が頑張りの見返りを実感し、企業価値を上げられる土壌づくりが重要となる。
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