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JR西日本の路線別収支 中国地方の苦境が鮮明に

JR西日本が11日公表した初のローカル線の路線別収支で中国地方の苦境が明らかになった。ローカル線17路線30区間のうち、芸備線や木次線をはじめ10路線21区間が中国地方にあり、収支率の低さが目立った。バスへの転換などに向けた協議を加速させる方針のJR西に対し、自治体からは警戒の声も出た。

収支が公表されたのは、1キロメートル当たりの1日平均乗客数(輸送密度)が2019年度に2000人未満だった路線。JR西は11日の発表で、「大量輸送という観点で鉄道の特性が発揮できておらず、利用しやすい最適な地域交通体系を創り上げていく必要がある」とした。

新型コロナウイルス感染拡大の影響が少ない17~19年度の年平均でみると、営業費用に対する運輸収入を示す収支率が0.4%で30区間全体で最も低かったのは、芸備線の東城(広島県庄原市)―備後落合(同)間だった。木次線の出雲横田(島根県奥出雲町)―備後落合間が1.5%で下位から2番目。最も赤字幅が大きいのは山陰線の出雲市―益田(島根県益田市)間で、34.5億円の赤字だった。

JR西はローカル線の赤字を支えてきた近畿圏の在来線や新幹線の収入がコロナ禍で大幅に落ち込み経営が苦しい。沿線自治体と課題を共有をしたうえで、線路や駅などのインフラ管理と列車運行の主体を分ける「上下分離」の導入を含めた議論を各地域と進める考えだという。

沿線の自治体からは廃線を警戒する声が出た。
島根県の丸山達也知事は木次線に改めて強い危機感を持ったと指摘。「鉄道はネットワークとしてつながってこそ最大限の効果を発揮する。輸送密度や採算性のみによって安易に地方路線の見直しを行うことは認めがたい」とコメントした。

木次線はトロッコ列車「奥出雲おろち号」が老朽化のため、23年度限りで運行を終了する。県と沿線自治体で構成するプロジェクトチームで活性化策を検討する方針だ。

広島県の湯崎英彦知事はJR西の発表について、「どんなときに路線を廃止するのか。収支の絶対額や収支率、利用者数など何を基準に考えていくのかが不明確だ」と話した。「国鉄民営化の際には地域の路線を維持するとの了解があった経緯を踏まえ、JRのあり方や国の交通政策を国民全体で議論すべきだ」と述べた。

JR西は広島市と岡山県新見市を結ぶ芸備線について、広島、岡山両県と庄原、新見両市と利用促進を目指す協議を21年に始めている。
庄原市の木山耕三市長は11日「鉄道は全国をつなぐ広域ネットワークとして構築されており、一部の区間のみを切り取って議論することは適切でない」とコメント。
新見市の戎斉市長は「なくてはならない重要な路線であり、持続可能となるよう努める」とした。

山口県の村岡嗣政知事は「沿線市町の意見なども踏まえながら、維持存続に向けて対応していく。また、各路線に設置されている利用促進協議会とも連携を図りつつ、利用促進にも取り組む」とした。

岡山県の伊原木隆太知事は「一方的な廃止はやめてほしい」とした上で、「データをもとにどういったやりかたが考えられるか色々な案を検討したい」と、JR西側との話し合いに前向きな姿勢を示した。

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