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ヤマハ、楽器用木材調達を持続可能に 産学研究や植林

ヤマハが楽器に使う木材の持続可能な調達に力を入れている。森林の育成などで京都大学との共同研究のほか、北海道とは連携協定を結びエゾマツの植林を進める。楽器に採用するのは一部の良質な木のみで、希少性が高く気候変動の影響も懸念される。環境に配慮しつつ、数十年先にも安定して楽器を生産できるよう先手を打つ。

10月、京都大学と2018年に結んだ研究連携協定の期間を27年9月末まで更新した。森林資源を持続可能にするため、木材の利用効率向上や資源量の把握、森林育成技術の開発などに共同で取り組む。現地の産業発展や雇用創出にも貢献したい考え。京大は森林科学分野で実績のある農学研究科と生存圏研究所が知見を提供する。

18~21年はタンザニアなど東アフリカでとれるマメ科樹木のアフリカン・ブラックウッドについて、生育条件の調査や植林を進めた。木材の中でも重く、音が響きやすいのが特徴で、クラリネットやオーボエなど木管楽器に使われる。

一方で利用効率の低さが難点だ。真っすぐに伸びにくく、節や割れがあると音の響きに関わるため、伐採した木材の約9%しか利用されない。高さ10メートルの木1本から作れるクラリネットは50本に満たないという。その上、楽器に使えるよう生育するまでに70年もかかる。

アフリカン・ブラックウッドは楽器製造以外の目的でも伐採されているといい、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストでは「準絶滅危惧」に分類されている。ヤマハの調達技術部の仲井一志主事は「替えのきかない木材なので将来への危機感がある」と話す。

京大との研究では楽器に使える木材の部位を増やす技術を開発する。完璧でない木材でも手を加えることで従来と同じ品質の楽器を生産できるようにする。このほか、楽器に使われるインドの黒檀(こくたん)や、中米のローズウッドなどについても多角的に研究していく予定だ。

楽器に使う木材は繊細で、生育状況が変わると音に影響する。ピアノ業界では音を響かせる響板(きょうばん)にスプルースがよく使われるが、地球温暖化などで生育が早まり、音を伝えるのに必要な密度が足りなくなるとの懸念も一部である。代替材のない樹木については、ヤマハのように生育環境の調査や有効活用するための技術開発が欠かせない。

ヤマハは10月、環境保全などで北海道と包括連携協定を結んだ。これまでアカエゾマツを遠軽町などで植林してきたが、協定締結により植林エリアを道内で広げる。アカエゾマツはかつてピアノの響板に使っていたが、最適な品質の木はほとんど残っていないという。「数十年後に再び安定供給できるよう手を打っておく」(調達技術部の村松慶一部長)

楽器製造のためだけでなく、環境保護の観点も重視している。中田卓也社長は「経営戦略の中枢にサステナビリティー(持続可能性)を据えている」と強調する。木とふれあい学ぶ「木育」や、ものづくりの魅力を伝える活動にも力を入れる考えだ。

(北戸明良)

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