浜松市23年度予算、新興企業育成に重点 子育て支援も

浜松市は7日、2023年度予算案を発表した。一般会計は22年度当初比7%増の3895億円と過去最大になった。スタートアップ企業の育成に重点を置き、実証実験の支援で静岡県西部の自治体と新たに連携するほか、次世代の起業家を育てる仕組みをつくる。子育て支援や観光振興などにも重点配分した。
鈴木康友市長は同日の記者会見で「財政の健全性に十分配慮しつつ、将来にわたり重要となる分野に配分した」と述べた。4月末に任期満了での退任を予定しており、今回が最後の当初予算編成となる。
新興企業の支援には4億9600万円を計上する。浜松市は市内で実証実験する全国の企業に資金支援する制度を設けており、23年度から他の県西部市町での実験も助成対象とする。フィールドを広げることで、自動運転や健康・医療など成長分野の産業発展を加速する。実験後の販路開拓もしやすくする。
次世代を担う若手起業家も育成する。起業に関心のある高校生や大学生が参加するコミュニティー「はままつスタートアップクラブ」を立ち上げる。新興企業の経営者らがワークショップを開いて起業のノウハウを教えたり、参加者が事業アイデアを発表したりする。
鈴木市長は「将来を担う若い人たちに起業への関心を高めてもらう」と狙いを話す。浜松市は20年に内閣府によって新興企業の集積を目指す指定都市に選ばれるなど、起業の機運が高まっている。人材育成や創業、事業拡大などに産学官金で取り組む。

子育て・教育支援にも力を入れる。保育士の業務を補助する人材を各施設で雇用するほか、幼稚園教諭の家賃補助制度を設ける。このほか、病気や障害のある家族、幼いきょうだいなどの世話をする18歳未満の子ども「ヤングケアラー」の支援にも乗り出す。ヘルパーの派遣や相談体制の整備に取り組む。
県営野球場の建設が予定される遠州灘海浜公園篠原地区周辺への道の駅整備には、調査費として1500万円を盛り込む。NHK大河ドラマ「どうする家康」放送に合わせた観光振興や、行政区再編に伴うシステム改修などにも予算を確保する。総事業費が884億円の新清掃工場の整備は、23年度に309億円を計上する。
特別会計と企業会計を加えた全会計合計は6%増の7087億円。個人所得の増加や企業業績の改善などを背景に、市税収入は2%増の1497億円を見込む。23年度末の市債残高は22年度末見込みより38億円増え4435億円となる見通しだ。予算案は15日に開会する市議会2月定例会に提出する。