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栃木・矢板市のシェアオフィス、休前日ワークで需要狙う

栃木県矢板市で防音の会議室などを備えた本格的なシェアオフィスがオープンした。駅から徒歩2分の好立地で、利用者は定額利用のほか時間借りもできる。宇都宮市、那須塩原市というビッグネームに挟まれ全国的な認知度は低い矢板市。仕事の合間に自然を楽しむスロー(緩やか)な働き方を「特産品」に育て、地域創生を目指す。

4日グランドオープンした「スローワーク矢板」は同市とコンソーシアムを組んだエフエム・スタッフ(東京・中央)が運営している。オフィス家具大手イトーキの子会社で、オフィスデザインを手掛けてきた強みから働きやすい環境づくりにこだわった。

オンラインミーティングができる大型モニターを備えた防音の個室2部屋のほか、周囲の視界を遮りパソコン画面がのぞき込まれることを防げる半個室や防音の個室も設置。テレワークが進む一方で、情報漏洩を避けるためにカフェのようなオープンスペースでの仕事を禁止する企業も増えている。会社、働き手の双方が安心できるよう設計した。

利用料金のプランも複数設け、利用者の使い方に柔軟に対応している。定額利用では法人契約は月4万4000円で最大2人、個人契約は月2万2000円。ほかに1日3300円や15分138円といった時間借りのプランもある。ちょっと立ち寄って使うことも、仕事の拠点にすることもできる。

矢板市は人口減に悩む典型的な地方都市だ。1998年には3万7000人を超えた人口も漸減し、2022年2月時点では3万1000人強と15%減少。斎藤淳一郎市長はスローワーク矢板開設にあたり「まずは関係人口を増やし、そこから移住へつなげる」と意気込む。

テレワークの急速な普及は地方にとってチャンスだ。総務省の人口移動報告(21年)では東京から近隣県に移り住む流れは鮮明となり、北関東では群馬と茨城が転入超過に転換、栃木は転入超には届かないものの転出超過幅は縮小した。首都圏の職場を維持した地方住居や、平日と週末で生活の場を変える2拠点生活といった新しい生活スタイルが地方回帰を促している。

駅前は閑散とし、在来線利用者も地元高校生が目立つ矢板駅。荒井法子社長は「シェアオフィスを作って、誰が利用するのか」と問われたこともあると明かす。実際、仕事をするために矢板に人を呼び込むにはまだハードルが高い。宇都宮駅で新幹線から在来線に乗り継いで東京から約80分で、宇都宮に比べ出張需要も見いだしにくい。

地方への関心が高まっている好機をどう捉えるか。荒井社長は矢板市に向くテレワークのあり方の例として、週末に栃木でゴルフを楽しんだり、家族で県内観光を楽しんだりする人が週後半に前乗りして矢板で仕事をするモデルを描いている。地域の観光産業との連携も模索しながら、「スローワーク」を基礎にした矢板市の地域おこしを狙う。

(桜井豪)

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