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大都市圏人材、石川企業のコンサルに 金沢大学が橋渡し

大都市圏の社会人を対象にした金沢大学のプログラムの経験者が、石川県内の企業のコンサルタントとして活動しだした。同プログラムは県内に半年間移住して、大学の客員研究員の立場で企業の課題解決に知恵を絞る仕組み。担当した企業から支援の継続を求められるケースが多く、会社の顧問などとして残った格好だ。

この仕組みは「共創型企業・人材展開プログラム」。金沢大と北国銀行、県内などの中小企業でつくる協同組合全国企業振興センター(アイコック、金沢市)が連携する。石川県へのUIターンを支援しようと、2019年度に始まった。

19年度の客員研究員の1人が石川県加賀市出身で東京在住の西出靖さん。IT(情報技術)会社で採用などを経験した後、通訳ガイドをしていた。「これまでの経験を故郷のために生かせれば」と考え、プログラムに参加した。

担当したのが青果卸売り、丸果石川中央青果(金沢市)。若手のモチベーション向上という課題に対応し、上司と部下の個別面談「1on1(ワンオンワン)ミーティング」を提案。自身も若手を中心に個別面接し、悩み事などを経営者に報告した。

岡嶋啓介専務は「外部の視点を取り入れられたので、気づきが得られた。上司にはいえない悩み事も把握でき、社内の改善に生かせた」と評価する。西出さんは顧問として残る。ある若手社員は「面談などで仕事以外のことなどもいろいろ引き出してくれる」と話す。

20年度の研究員だった大阪府出身の明神寿紘さんは、サービス会社の職場内訓練(OJT)などの仕事の経験を持つ。プログラムでは給油所向け地下タンク製造のタマダ(金沢市)を担当した。女性社員の活躍に向けた環境整備などが課題だったことから、マインド醸成に向けた研修などを提案した。プログラム終了後、業務委託の形で同社に残り、新しい研修のフォローアップにあたる。

明神さんは現在、大阪府内の会社で働いており、週1回、タマダとリモートで打ち合わせする。「1社にいると視野が狭くなる。それぞれの会社で得たことをそれぞれ生かす『二刀流』の働き方ができれば」としている。

20年度の研究員、小西和孝さんは資源リサイクル会社の役員などの経験を持ち、埼玉県に自宅がある。プログラムで乳製品のホリ乳業(金沢市)の業務改善にあたった。21年1月の大雪の際、廃棄に迫られた商品をフードバンクに有効活用したことなどが評価された。現在は石川県内に居住し、同社の顧問として残った。

金沢市内の別の会社のコンサルタントにもあたる。金沢大の21年度のプログラムでは研究員の報告を聞いて、助言するメンターとしても活躍する。小西さんは「リサイクルの会社でコンサルに依頼する立場だった。その経験から現場主義が重要だと思って仕事をしてきた」としている。

金沢大によると、プログラム終了後、4人が石川県外から県内企業の経営支援にあたるほか、小西さんのように石川県に残ったケースもある。プログラムを担当する金沢大の平子紘平特任助教は「交流人口・関係人口という形で、都市部と地域をつないで深く地域に関わり続けていただけることは、大学や地域、企業にとって良い事」としている。

(石黒和宏)

▼共創型企業・人材展開プログラム 首都圏など大都市部の人材をマッチングし、定着を後押しする事業。金沢大は客員研究員として6カ月間、受け入れてリカレント(学び直し)教育の場を提供する。北国銀行とアイコックが売れ入れ企業の開拓や定着の支援にあたる。
客員研究員は受け入れ企業が負担する形で、月30万円を6カ月受け取る。2019、20年度に17人を15社に橋渡しした。プログラムが終わった後、担当した企業に入社したケースも。21年度は6人が6社の課題解決に取り組んでいる。

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