/

有楽町線延伸の建設費 東京都と江東区、負担巡り綱引き

News潜望展望

東京メトロ有楽町線延伸の建設費用の負担を巡り、東京都と地元区の江東区が協議を続けている。江東区には建設誘致に向け積み立ててきた基金がある。都側は基金を念頭に費用負担を求めているが、区側は地下駅周辺の整備費用に充てたい考えで「妥協点」の探り合いとなっている。

有楽町線の延伸(住吉―豊洲間、4.8キロ)は3月に、南北線の延伸(品川―白金高輪間、2.5キロ)とともに鉄道事業許可を得た。有楽町線は住吉―東陽町間、東陽町―豊洲間に1つずつの新駅設置を予定。ともに2030年代半ばの開業を目指している。

事業主体は東京メトロで、総建設費は有楽町線が約2690億円、南北線が約1310億円。建設費の調達は国と自治体が負担する「地下高速鉄道整備事業費補助」と鉄道・運輸機構による「都市鉄道融資」を活用。都は総額から車両費などを除外した金額の「48.6%」を負担する予定だ。ただ地元区の負担について、都は南北線の港区には要求していない一方、有楽町線の江東区には要求している。

「地下鉄整備の補助を地元区が負担した例は今までにはない。地下鉄建設のために地元区が負担するということはちょっとあり得ない」。4月の区議会で江東区の山崎孝明区長は負担を求める都側の動きをけん制した。その上で「負担額と理由について慎重に検討した上で、区議会とも相談しながら都との協議に臨む」と続けた。

都が江東区に負担を求める背景には、江東区が延伸計画の早期実現を促す目的で10年に基金を設立したことがある。毎年約10億円を積み立てており、21年度末の累積積立額は90億円に上る。都側の担当者は「(江東区の)費用負担は前提条件だ」と話す。

一方で、江東区側は基金を沿線のまちづくりに利用したい考えだ。区民アンケートなどを実施した上で22年度中にまちづくり計画を策定する。

ただ基金をまちづくり計画に活用するにはハードルがある。区の担当者は「(まちづくり計画への活用には)条例の改正が必要で、計画が確定してからどんな設備が必要なのか整理する。最低でも2~3年はかかるだろう」と明かす。

こうした事情を踏まえ、江東区は5月、費用負担を受け入れつつ基金の一部をまちづくりに活用する方針を明らかにした。山崎区長も6月の会見で「ある程度負担することで東京メトロに対しても発言力が出る」と述べ、態度を軟化させている。

江東区にとって有楽町線延伸の早期実現は重要だ。区を縦断する住吉―豊洲間を結べば、マンションや商業施設の開発が進む臨海部と東京スカイツリーなど観光地や下町とのアクセスが向上し、交差する東西線やJR京葉線の混雑緩和も期待される。

今後、江東区は妥協点を探るため都との間で具体的な負担割合を協議するほか、東京メトロには総建設費の削減を求めるという。

(森岡聖陽)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

関連企業・業界

業界:

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン