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ロック・イン・ジャパン会場変更、茨城で惜しむ声強く

国内最大級の野外音楽イベント「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」の運営事務局は5日、会場を国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)から千葉市蘇我スポーツ公園に変更すると発表した。同フェスはひたちなか市の夏の代名詞で10億円規模の経済効果があるとされ、茨城県内からは惜しむ声が相次いだ。

同フェスは2000年にひたち海浜公園で初開催して以来19年まで毎年開催。20年は新型コロナウイルス禍の影響で中止し、21年も地元医師会の要請もあり直前で中止となった経緯がある。

運営会社のロッキング・オン・ジャパン(東京・渋谷)は、感染対策の観点から海浜公園では「どうしても密集を避けることができない」と説明。さらにフェスの中止や規模縮小が続いたことによる経営状況の厳しさにも触れ、「もう中止や赤字覚悟のフェス開催は困難」として変更を決めたという。同社は「25周年、30周年といった年でのひたちなか開催を模索する」考えも示した。

ひたちなか市観光振興課は「続けてほしかったというのが本音」とする。ただ事務局と協議する中で、経営状況が厳しく、感染状況によらず確実に開催できる場所を選ばざるを得ないという意向を了承したという。「ひたちなかをロック・イン・ジャパンの開催地として有名にしてもらったことには深く感謝している」とコメントした。

茨城県の大井川和彦知事は会場変更について「残念でならない」としたうえで、「今後再びひたちなか市で開催していただきたい。その際には全面的に協力したい」とのコメントを出した。

ひたちなか市観光協会の海野泰司会長(長寿荘社長)は「事前に説得を試みたが(2年連続中止の)経営的な影響が大きかったと思う。20年間開催され、市の観光の知名度も高まってきただけに残念で寂しい」と話す。

地元への経済的な打撃は避けられない。コロナ禍前はアーティストやスタッフが同市のほか近隣市町にも宿泊し、弁当なども5万食近く販売されたという。飲食店や交通機関を含めた経済効果は年間10億円近いとみられる。

春のネモフィラ、秋のコキアとともに国営ひたち海浜公園の夏の目玉だっただけに影響は大きい。海野会長は「地元として事務局と良好な関係を築き、いずれ戻ってきてほしい」と話す。

水戸市で飲食店「酒趣」を経営し、フェス会場で茨城県産メロンをまるごと使ったクリームソーダを例年販売してきた井坂紀元さんは「22年こそ、ひたちなか市で開催と信じていた。茨城で地元の食材を味わってもらう機会がなくなってしまい喪失感は大きい」と話す。

21年は同フェス用に約1万個のメロンを仕入れたが2年連続中止で在庫を抱えた。他の飲食店や食品会社と共同で、出資者に食材などを返礼品として贈るクラウドファンディング(CF)を実施したばかりだった。

海浜公園への鉄道延伸を計画し、フェスの無料シャトルバスの運行にも携わってきた、ひたちなか海浜鉄道の吉田千秋社長は「これからという時だったので非常に残念だ」。「蘇我は交通アクセスも良い。再びひたちなかに戻るかは不透明ではないか」と話した。

会場変更を惜しむ声が多い一方、将来を見据えた声もある。ひたちなか商工会議所の柳生修会頭(コロナ電気社長)は「25周年や30周年の節目に戻っていただけるなら地元として応援したい」と話す。

井坂さんが企画したCFに参加した磯蔵酒造(笠間市)の磯貴太社長は「新たな音楽イベントの誘致やイベントづくりにつなげて(事務局に)いずれ恩返しできるきっかけになればよい」と話した。

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