新潟・千葉の火力発電で火災 電力供給のリスク浮き彫り

各地の火力発電所でトラブルが続いている。3日にかけて千葉県と新潟県の火力発電所でそれぞれ火災が発生し、東北電力などが出力を落とした。関東の猛暑が和らいだため足元の電力需給に問題はないものの、夏の電力供給のリスクが浮き彫りになっている。
東北電力では3日夜に東新潟火力発電所(新潟県聖籠町)で火災があった。すぐに鎮火したが、トラブルが起きた設備は4日夕時点で出力上限を6割強の約40万キロワットに落とした。1985年に運転開始と古い設備で、4日時点で復旧は未定だ。
2日には東京電力ホールディングスと中部電力が折半出資するJERAの千葉火力発電所(千葉市)で火災があり、出力50万キロワットの設備の運転が止まった。同社は10日までの復旧を目指している。運転開始は2014年と比較的新しい。
政府は全国的な電力の逼迫を受け、いわゆる「老朽火力」を稼働することで電力の確保を進めている。ただ、古い設備ほどトラブルが起きる恐れがある。
21年1~2月に寒波や液化天然ガス(LNG)不足で電力が逼迫した際には、石炭火力や石油火力を最大限に活用してしのいだ。この2カ月間に起きた発電所の予期せぬ停止は合計で900万キロワット分を超え、前の年度から3倍程度に急増した。経産省は「運転から20~30年たってくると不具合が起こる確率が上がってくる」と指摘する。
東電管内では、夏の暑い平日の日中に5000万キロワット超の電力需要がある。50万キロワットは需要の1%弱にあたる。7月は厳しい暑さになれば、需要に対する供給の余力を示す「予備率」が東北から九州まで8電力の管内で3.7%となる見通し。最低限必要な3%に対しわずかな余力しかなく、火力発電のトラブルが続けば安定供給が揺らぎかねない。
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