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被爆76年、刻む祈り 広島「原爆の日」

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広島は6日、被爆から76回目の「原爆の日」を迎えた。広島市の平和記念公園では「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」(平和記念式典)が開かれ、被爆者や遺族らが犠牲者を悼んだ。今年1月には核兵器禁止条約が発効したが、核保有国は参加せず実効性は不透明だ。原爆投下の惨禍を繰り返さないためには、被爆地の記憶と教訓を国内外に発信していくことが求められる。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、式典は昨年に続き規模が縮小された。被爆者や遺族、菅義偉首相らのほか、海外からは83カ国と欧州連合(EU)の代表者が参列した。原爆が投下された時刻の午前8時15分には平和の鐘が鳴り、参列者は黙とうをささげた。

松井一実市長は平和宣言で「被爆者の思いを誠実に受け止め、一刻も早く核兵器禁止条約の締約国になっていただきたい」と述べ、政府に条約批准とともに核保有国と非核保有国の橋渡し役を強く求めた。7月には原爆投下後に降った「黒い雨」を巡り、政府が定めた区域外で浴びた原告を被爆者と認めた広島高裁判決が確定した。松井市長は宣言で「黒い雨」に言及し、被害者の早期救済を訴えた。

菅首相は核軍縮を進めるため、様々な立場の国の橋渡しをしながら「現実的な取り組みを粘り強く進めていく必要がある」と述べた。核拡散防止条約(NPT)体制の維持と強化が必要だと強調した。「黒い雨」訴訟に関しては原告と同じような事情にある人について「救済できるよう早急に検討を進める」と述べた。

国連のグテレス事務総長はビデオメッセージを寄せ「核兵器が使用されないことを保証できる唯一の方法は核兵器の完全な廃絶だ」と語った。

慰霊碑にはこの1年に死亡、または死亡が確認された4800人の名簿が納められた。広島の原爆死没者は32万8929人となった。

被爆者の高齢化と減少は進む。厚生労働省のまとめでは、「被爆者健康手帳」を持つ被爆者は2020年度末で全国に12万7755人と、最も多かった1980年度末(37万2264人)から6割以上減少している。都道府県別では広島県(約5万7千人)と長崎県(約3万3千人)で約7割を占め、東京都に約4400人、大阪府に約4200人いる。

20年度に亡くなった被爆者は8952人に上る。平均年齢は83.94歳で過去最高だ。広島・長崎の被爆の記憶が薄れることへ懸念があるなか、次代へ引き継ぐ取り組みが急がれる。

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