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香川・讃岐うどん、国越えて再現 大和製作所の製麺機

四国の売り方第4部 世界に挑む

グローバル化を前提とした経済成長は新型コロナウイルスで一時停滞したものの、世界景気は改善の兆しを見せている。地方企業にとっても海外市場に挑戦することが、事業拡大のチャンスになり得る。連載企画、四国の売り方第4部では、地域特性を生かした海外展開に注目。地方発の取り組みで世界と戦うためのヒントを探る。

大和製作所は製麺機の使い方を海外拠点で実演しPRする(2020年、オランダ)

香川県が「うどん県」を自称するように、讃岐うどんは土地を代表するソウルフードだ。県外から観光客を呼び込むことのできるキラーコンテンツであり、なおかつ地域の人にとっては日常食でもある。うどんなどの製麺機を生産・販売する大和製作所(香川県宇多津町)の藤井薫社長は「うどんの本場、香川の恩恵を受けている」と話す。

大和製作所の製麺機は現在、60カ国以上の飲食店などに納入実績がある。ソウルやシンガポールなどに拠点を持ち、オランダにも新拠点を設けた。新型コロナウイルスの感染が広がる前の2020年3月期には約14億円の売上高のうち、4割ほどを海外事業が占めていた。

海外展開を進めることができた強みの一つが、手打ちうどんの本場である地の利を生かして食感や味をデータ化し、製麺機があれば世界中どこでも本物を再現できるようにしたことだ。川崎重工業でエンジニアとして経験を積んだ藤井社長は、うどんだけでなくラーメン、そばにも製麺機事業を広げ、海外での和食ブームも追い風に販売実績を積み重ねた。

材料となる小麦は品種によって含水率が異なる。品種に合わせた配合や、その日の気温、湿度、加える水の割合や混ぜる時間などを数値化した。「料理はサイエンス」(同社長)との考えに基づいて、誰がどこで機械を使っても麺の質を保てるようにしたことで品質が均一になった。

製麺機に加えて「麺学校」と呼ぶ1週間弱の講習では、つゆやスープの味もデータ化して飲食店経営者などに指南する。新型コロナの影響を受けて海外拠点では現在実施できていないものの、オランダの新拠点は現地での麺学校を想定して開設された。

国の食習慣に合わせた麺ビジネスのコンサルティングも手掛けている。香川のうどん店では短時間の滞在が大半だが、特に欧州ではうどんやラーメンでも時間をかけてゆっくりと食べる。来店客の回転率が下がるため、客単価を上げ、席数を増やすよう提案するなどしている。

ラーメンの麺を包装する機械など、開発を進めている

新型コロナによって、対面が前提だった大和製作所の麺学校事業と製麺機の販売は落ち込み、21年3月期の売上高は約10億円となった。挽回に向け麺学校の指導内容を動画で提供するサービスを7月にも始める。計100時間ほどの内容で、初期費用として数十万円、以降は月ごとに課金される仕組みを考えている。英語の字幕をつけ海外向けに展開することも検討していく。

製麺機事業の中心であった外食産業が厳しい状況にあることから、中食など巣ごもり需要を開拓するための新製品も投入する。ゆで卵の自動殻むき機や麺の自動包装機を開発し、国内外でスーパーなどの需要を見込む。海外売上高比率5割をめざし、日本で培った麺の味を世界に広げていく。(桜木浩己)

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