伊豆箱根鉄道、芦ノ湖遊覧船事業を売却 富士急に

伊豆箱根鉄道(静岡県三島市)は3日、芦ノ湖(神奈川県箱根町)で手がける「遊覧船事業」を富士急グループに売却すると発表した。売却額は非公表。新型コロナウイルス禍で乗船する観光客の減少が続いており、主力である鉄道、バスなどの交通事業と不動産事業に経営資源を集中させる。
伊豆箱根鉄道は12月に、新会社「芦ノ湖遊覧船」(神奈川県箱根町)を立ち上げ遊覧船事業などを譲渡。新会社は2023年3月1日に、富士急行グループに売却する。遊覧船事業が持つ定員700人の遊覧船が3隻と、遊覧船の寄港する「湖尻」や「箱根関所跡」など4港に加え、不動産事業のうち湖尻に隣接する商業施設の「箱根 湖尻ターミナル」が対象となる。
同町で手がける「元箱根港売店」と「箱根関所旅物語館」は主要な観光施設に近く集客が見込まれることから引き続き同社が運営する。遊覧船は芦ノ湖を約40分間かけて往復する。運行便数は1日10便。
遊覧船は17年度に42万人程度の利用者がいたが、コロナ禍で観光客が減り、21年度の利用者数は12万人だった。同社は「厳しい経営環境が続くなか、構成する資産を不動産と交通に集中させ収益力を高めたい」としている。