FPCのレーザー露光 表裏同時に インスペックが新装置
半導体外観検査装置メーカーのインスペックは、電気自動車(EV)などに使う長尺フレキシブルプリント基板(FPC)を製造する新型の露光装置を開発した。FPCの表裏両面を同時にレーザーで継ぎ目なく直接露光できる。片面ずつの工程に比べ時間を半減でき、回路の位置がずれるリスクもなくなるという。2024年4月期に5台の販売を計画する。

露光装置はフィルム状のシートに回路を焼き付ける工程に使う。FPCは薄くて軽いうえ、柔らかくて折り曲げられるため、スマートフォンやウエアラブル機器、プリンターのヘッド部分など幅広い用途に使われている。
新装置はロールtoロール型両面同時シームレス直描露光装置「RD3000FB」。4日、受注を始めた。価格は8000万~1億3000万円台を予定。自動運転や電動化など自動車の「CASE」の進展で、電子材料のFPCは今後一段と需要増が見込まれる。国内や中国をはじめ、自動車・航空機産業の大市場である欧州、北米のFPCメーカーに売り込む。
同社はFPCの外観検査装置を主力にしている。その技術を生かして19年末、秋田県産業技術センターなどと共同でロールtoロール型シームレスレーザー直描露光装置「RD3000」を開発した。この装置は材料の搬送を止めることなく、最長6メートルまで継ぎ目なく連続して露光できる。
ただ、表裏両面のFPCは回路の位置を合わせるためのマークをもとに、表裏それぞれに露光する必要がある。このため、両面を比べると回路の位置にズレが生じるリスクがあった。
今回の新装置はRD3000をベースに1年半かけて開発。継ぎ目なく両面同時に連続して露光できることから、片面ずつの作業に比べ時間を半減できる。表裏を一緒に同じ分量だけ連続して位置を補正できるためズレが生じるリスクもなくなるとしている。

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