最大435億円、城端線・氷見線のLRT化検討会

富山県と高岡、砺波、南砺、氷見の4市、JR西日本が参加する城端線・氷見線のLRT(次世代型路面電車)化検討会は、事業費用の調査結果を公表した。LRT化する場合の費用が最大で435億円と試算した。コスト負担の重さもあり、LRTを推す意見はなかったという。
2日に開かれた非公開の検討会終了後、座長で富山県交通政策局の田中達也局長が記者団の取材に応じた。
事業費は9つの場合に分けて試算した。架線などを設け、電化した上でLRT化する案は6つで、運行間隔や高岡駅での直通化などで分類した。このほか、蓄電池式車両を使用したLRT化、BRT(バス高速輸送システム)化、ディーゼルエンジンで発電した電力でモーターを動かす「電気式気動車」など新型鉄道車両の使用を想定した試算も出した。
電化してLRT化する案で最も費用が少なかったのは直通なし、ピーク時に30分間隔で運行するケースで、試算された費用は240億円。最も高かったのは、直通あり、ピーク時10分間隔で435億円だった。
9つの中で試算額が最も低かったのは、新型鉄道車両の場合で131億円。同一平面上で軌道が交差する平面交差になるが、直通化も可能で追加費用は30億円としている。
田中局長によると、新型鉄道車両の使用には前向きな意見のほか、LRT化は工事のための運休が約1〜2年となり「利用者が離れてしまうのではないか」といった指摘があった。また、LRTの低床車両が積雪に弱い点を懸念する声も出たという。LRTを推す声はなかったという。
県内でのLRT化の先行事例で、旧JR富山港線を活用した「富山ライトレール」の総事業費は約58億円。城端線・氷見線が富山港線と異なり非電化の路線で、路線距離も約6倍と、コストに差が出た。同検討会では22年度中に開く次の会合で、今後の方向性を示す方針だ。