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福島・いわき市、ITの実証実験でニュータウン再生

東奔北走

いわきニュータウンの開発予定地周辺の街並み(福島県いわき市)

福島県いわき市は大規模ニュータウンの一部について、IT(情報技術)を活用した街づくりの実証実験を希望する企業に一括して売却する。2021年度内に開発を担当する企業を選定し、実証実験で得られた成果を街全体に広げる。高齢化が進むニュータウンの再生を目指す。

対象はいわきニュータウンで事業の名称は「スマートタウンモデル地区推進事業」。実証実験向けに売却する拠点エリアは約19.1ヘクタールでニュータウン全体の約4%にあたる。いわき市土地開発公社が保有し、現在は空き地になっている。

開発の方向性を示す基本戦略について、住民らの意見を聞きながら今秋をめどにまとめる。現段階では100~150戸の戸建て住宅、50~100戸の集合住宅、事業所、住民の利便性を高める施設などを整備してもらう案があがっている。基本戦略に基づいて、企業や企業コンソーシアムから具体的な案を募り、22年3月末までに審査して事業者を決める予定。街開きは25年度を目指す。

多くの企業は社会の高齢化や脱炭素化の流れに対応するため、ITを活用したインフラの研究や次世代住宅の開発に力を入れている。ところが技術の実用化に欠かせない実証実験の場が限られる問題を抱えている。

そこで企業に街づくりを任せることで実証実験と「実装」と呼ばれる実用化を同時に進めてもらうことにした。

具体的には自動運転による買い物や通院の支援、ドローンによる配達、住宅の太陽光パネルを連携させることで電気を効率的に利用するシステムなどがアイデアとして上がっている。

選定された企業は、住宅などの開発、分譲だけでなくITを活用した様々なプロジェクトのとりまとめ役になり、データの分析、検証と事業の改善を継続する。

通信ネットワークや送電線、自動運転用の誘導装置が必要となった場合、市が費用を支援する。その財源として売却予定地の含み益を活用して土地の分譲価格を調整する方針だ。必要がある場合、既存の都市計画を変更する。

高度成長期に開発された多くの住宅団地は買い物難民の発生や街の活力の低下など共通の問題を抱えている。いわき市は実証実験の成果をいわきニュータウン内の他の地域のほか、別の住宅団地にも広げることを検討する。

実証実験の主体として選ばれた企業は、他の地域でもビジネスを展開できる可能性が高まるため、実証実験を成功させる意欲が高まると市はみている。

スマートシティの実証実験では同じ福島県の会津若松市の例が知られている。会津若松市は都市OSと呼ばれる基本システムづくりや、集まったデータを活用した応用システムの開発を重視している。いわきニュータウンは住宅の建設や分譲を軸にした都市開発に重点を置く。

(郡山支局長 村田和彦)

いわきニュータウン JRいわき駅から車で10分程度の丘陵地にあり戸建て住宅中心に約1万4千人が暮らす。総面積は約530ヘクタールで県立公園や医療創生大学のキャンパスがある。1980年代に分譲をはじめ、現在も開発が続いている。緑が多く整然とした街並みで知られる。一部で住民が高齢化する「オールドタウン化」が問題になっている。

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