東北景況感、2期ぶりの改善 先行きなお警戒
日銀仙台支店が1日発表した東北の6月の企業短期経済観測調査(短観)によると、景況感を示す業況判断指数(DI)は全産業で前回(3月調査)から2ポイント改善しマイナス4だった。改善は2期ぶり。製造業が悪化した一方、新型コロナウイルス禍の影響が和らいだ宿泊・飲食などサービス業を中心に非製造業が改善した。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と回答した割合を引いて算出する。製造業は5ポイント悪化のマイナス5となり、2021年3月調査以来のDIのマイナス転落となった。
裾野が広い自動車が生産調整を続けており、関連産業も連動して景況感が悪化した。一部で中国・上海のロックダウン(都市封鎖)によるサプライチェーンの混乱などの影響もみられた。新型コロナの感染状況が落ち着いたことによる消費回復が追い風となり食品などは改善した。
一方の非製造業は6ポイント改善のマイナス3となった。全12業種中9業種と大半で改善。各県の観光促進事業「県民割」などの効果もあり、宿泊・飲食や対個人サービスなどが全体の改善に寄与した。
6月短観では企業の原料高への対応も鮮明になった。仕入価格判断では製造業が5ポイント上昇の77、非製造業が10ポイント上昇の62とそれぞれ過去最高となった。価格転嫁も徐々に進んでおり、販売価格判断は製造業が30、非製造業は22となり、ともに11ポイント上がった。製造業は1974年以来で最高となり「法人向け取引を中心に転嫁ができている」(日銀仙台支店の竹内淳支店長)。
先行きは依然として厳しい。およそ3カ月後の見通しを聞く先行きのDIは、製造業がマイナス3と2ポイント改善を見込むが、マイナス圏に沈んだままだ。非製造業は5ポイント悪化のマイナス8を見込んでいる。
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