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「金持ちより人持ち」胸に 香川・丸亀の商社、相原さん

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相原は「金持ちより人持ち」という言葉を大切にしてきた

香川県丸亀市に拠点を置く地域商社OIKAZEの代表、相原しのぶは10年ほど前、よく耳にするようになった「地域活性化」という言葉にもやもやとしていた。誰にとっての、どんな変化を含む言葉なのか。意味するところが広すぎて、何を目指せばよいのかわからなかったという。

徳島出身の相原が香川に移ってきたのは2008年。旅好きが高じて宿泊施設を開業したいとの考えもあり、旅行予約サイト「じゃらん」の営業に職を変えた。香川の中部西部を担当し旅館やホテルを回る。そんな時、「地域活性化」と自ら言いながらも、地域の持続的な在り方とはなんだろうかと疑問をもっていたのだった。

6年ほど経ち、縁あって働き始めた温泉のある街、仏生山地区(ぶっしょうざん、高松市)は不思議な街だった。「住んでいる人が皆、仏生山のことが大好きなんです。首都圏から移住してきた人も、その知り合いで引っ越してきた人も。街を好きな気持ちが、次の誰かの好きにつながっていたんです」。活性化とは何か、一つのヒントが見えた気がした。

丸亀市が地域商社事業を担う業務委託先を募集していると知って手を上げ、2017年にOIKAZEを立ち上げた。多くの地域商社が手掛けている特産品の商品企画や販路開拓に加えて、夕方からは小売店が飲み屋に様変わりする。「雑食の地域商社」と自身が例えるように事業は幅広い。

地域商社が商品企画を手掛けた香川本鷹商品

丸亀市の離島、手島には香川本鷹(ほんたか)と呼ばれるトウガラシがある。うま味が特徴の国産品種で生産量は限られており、相原は販路を確保して農家を支えようと考えた。大阪の香辛料製造企業に持ち込んだところ、品種を残すためならと快く引き受けてもらい、一味や七味の商品化につながった。いまでは香川本鷹のジャムを使ったアイスも販売している。

これから手掛けていきたいのは地域教育だ。香川県は進学を機に県外に出る高校生が多く、生まれ育った街のことを知る機会が限られているのではないか。就職や転職でUターンにつながらなくても、地元のことを好きでいてもらえれば良い。地域の人を地元のファンに。雑食といえどOIKAZEの取り組みに一貫して共通している、仏生山で学んだ羅針盤だ。

じゃらんに移る前、徳島の飲食店で働いていた時にお客さんから言われた「金持ちより人持ちになりなさい」との言葉が今でも心に残る。人持ちは人と人とをつなげるのだろうか。OIKAZEに酒を飲みに来る常連は、隣のいちげんさんを連れて2軒目に向かうこともあるのだと笑う。=敬称略

(桜木浩己)

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