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イチゴ品種開発競争激化、神奈川県も参入「かなこまち」

点照

イチゴの産地間競争が激化している。各県が独自品種のブランド化を目指す「イチゴ群雄割拠の時代」。イチゴは消費者からの人気が高く、価格も安定している。神奈川県も約30年ぶりに独自品種「かなこまち」を開発した。

栽培面積や生産量のトップは「とちおとめ」などのブランドイチゴを持つ栃木県だが、販売単価のトップは福岡県の高級ブランド「あまおう」。福岡県農業総合試験場が開発して2001年に品種登録申請した。名称は「あかい、まるい、おおきい、うまい」の頭文字から。あまおうの生産は県内に限定し、コラボ商品は100を超えている。

あまおうに追いつこうと、各地で独自品種の開発が相次ぐ。「県独自の品種がほしい」との農家の要望を受け、神奈川県農業技術センター(平塚市)も14年から品種開発に乗り出した。しかし、失敗の連続だった。「中途半端な品種を開発しても他県のブランド品種には勝てない。味などで特徴を出さないといけない」(同センター生産技術部)

試行錯誤の結果、静岡県産「紅ほっぺ」と群馬県産「やよいひめ」を交配することで「これはいけそうというものが生まれた」(同)。検証作業を続け、20年9月にかなこまちの品種登録を出願した。

かなこまちは大粒の割合が多い。果実の中も赤色で長い円すい形。名称は「神奈川生まれの美しくておいしいイチゴ」との思いから。甘みと酸味のバランスが良く、果肉もしっかりして輸送に強い。面積あたりの収穫量が多く都市部での栽培にも向いている。23年からの本格生産を目指し、当面は直売所での販売やイチゴ狩りなどで「神奈川でしか食べられないブランドイチゴ」としてアピールする。

これまでも県農業技術センターは人気独自品種を生み出している。かんきつ類の「湘南ゴールド」。さわやかな香りと控えめな酸味、レモンのような黄色の皮が特徴だ。03年に品種登録され、現在はお菓子や飲料などのコラボ商品も増えている。価格低迷に悩む県内のミカン農家にとって「救世主」となっている。

農家の高齢化や後継者不足のなか、高付加価値品種を追求する動きが広がっている。県が品種を開発し、農家が育て、官民一丸で売り込む――。優れた品種を開発して生産と販売の歯車がかみ合えば、既存品種の価格低迷に悩む農家を救え、農業の活性化につながるだろう。(横浜支局長 仲村宗則)

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