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都内自治体、ふるさと納税増加目立つ 流出額なお多く

総務省がまとめた2020年度のふるさと納税の現況調査によると、都内自治体の寄付受け入れ額は46億3522万円で19年度比88%増だった。全国の38%増を上回る伸びで、数倍以上に増えた自治体も目立つ。寄付者への返礼品の拡充や共感を得やすい個別事業での寄付募集が奏功した。一方で、23区を中心に多額の税収が流出する状態は続いた。

寄付額が最も多かったのは墨田区で、前年度比67%増の7億311万円だった。20年3月に返礼品に加えた紳士革靴「スコッチグレイン」や江戸切子といった「ものづくりの街」ならではの返礼品が人気を集めた。同区は「区内事業者の産品のPRの場になる」と今後も返礼品の拡充を進める。

20年8月に返礼品の送付を始めた渋谷区も1億2930万円と8.7倍に急増した。レストランやホテルの食事券など「コト消費」を軸に返礼品の種類を順次増やしたことが奏功した。

4.2倍の世田谷区は「寄付者の共感を得やすい個別事業を掲げて寄付を募った」ことが寄付額増につながったとする。PCR検査拡充など新型コロナウイルス対策事業や人工呼吸器などが必要な医療的ケア児の支援事業、児童養護施設退所者の奨学基金などに寄付が集まった。

伸び率が最大だったのは東村山市で、約1億円の高額寄付者がいたことなどから寄付額は22倍の1億1016万円になった。コロナ禍での全国的な寄付増加も追い風に、都内62市区町村のうち43自治体で寄付額が前年を上回った。

一方で、ふるさと納税による税収流出の勢いは止まっていない。寄付額に応じて居住地に納める住民税が控除されるため、制度を利用する住民が多いほど減収につながる。都市部の住民が地方に寄付するケースが多く、市区町村ごとに寄付額から住民税控除額を引くと控除額の方が大きい「赤字」状態の自治体は56に上った。

赤字額が最大だったのは57億円超の世田谷区。区は「財政面の影響が非常に大きく、税負担と行政サービス享受の公平性の点からも問題がある」として国に制度の是正を訴える。控除額は地方交付税で補填される仕組みがあるが、23区などは不交付団体のため補填がない。赤字が大きい自治体は自力での穴埋めに知恵を絞る。

港区は20年度、ふるさと納税を通じて区内のNPO法人など公益性の高い団体に寄付できる仕組みを整えた。寄付額の7割が団体に渡り区に残るのは3割にとどまるが、担当者は「公益性の高い団体の活動支援は地域づくりに意義があるし、流出を少しでも防ぐには何かしら工夫していくしかない」と話す。10億円弱の赤字だった台東区は年内に返礼品の送付を始めることにしている。

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