ノーベル平和賞7日発表 ロシア反体制派など候補に - 日本経済新聞
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ノーベル平和賞7日発表 ロシア反体制派など候補に

ノルウェーのノーベル賞委員会は日本時間の7日午後6時、2022年のノーベル平和賞を発表する。2月にロシアがウクライナ侵攻を開始したことを受け、ベラルーシの反体制派スベトラーナ・チハノフスカヤ氏やロシアの反体制派アレクセイ・ナワリヌイ氏らが有力候補に挙がる。英国のブックメーカー(賭け屋)ではウクライナのゼレンスキー大統領の人気が高い。

平和賞はノルウェー国会が任命するノーベル賞委員会が選定する。22年は16年に次いで過去2番目に多い、251人と92団体の計343候補の推薦があった。平和の促進や軍縮、民主化などに貢献した個人や団体に贈られる。

同賞の予想に定評のあるオスロ国際平和研究所のウーダル所長は、有力候補の筆頭としてベラルーシの反体制派指導者のチハノフスカヤ氏とロシアの反体制派指導者のナワリヌイ氏を挙げた。両者はウクライナ侵攻を声高に批判している。ウーダル氏は両者への授賞は「ロシアによるウクライナ侵攻とベラルーシによる(ロシアへの)支援への明確な抗議となる」と指摘する。

チハノフスカヤ氏は20年、ベラルーシのルカシェンコ大統領に対抗して選挙に出馬し抗議デモの象徴的な存在となった。ウーダル氏はベラルーシがロシアとの一体性を加速させる中で「民主化運動のリーダーとして授賞にふさわしい」と評した。ナワリヌイ氏は収監後も抗議デモの呼びかけなどの活動を続け、「ロシアで民主化を求める非暴力闘争で中心的役割を果たしてきた」(ウーダル氏)。

「国際法によって平和を促進する」として国際司法裁判所(本部オランダ・ハーグ、ICJ)も候補に挙げた。ICJは3月、ロシアにウクライナへの侵攻を直ちに中止するよう命じていた。

世界的に強権国家が増える中、中国政府による人権抑圧や侵害に厳しい目が注がれる。中国政府の民族政策を批判して収監されたウイグル族学者イリハム・トフティ氏に加え、英国に亡命した香港の民主活動家の羅冠聡(ネイサン・ロー)氏、収監された周庭(アグネス・チョウ)氏も、オスロ国際平和研究所が公表した候補リストに名を連ねている。

宗教対立による分断を受け、インドで宗教的理由による暴力に反対するキャンペーン「愛のキャラバン」運動を立ち上げたハーシュ・マンダー氏も候補に挙げた。

賭けサイトではロシアによる侵攻を受け、ゼレンスキー大統領やウクライナ国民、ウクライナメディア「キーウインディペンデント」などが予想の上位に挙がる。ゼレンスキー氏については選考締め切り後の3月に欧州議会の一部議員らが推薦の書簡を選考機関に送付したが、受理されたかは不明だ。

21年はフィリピンの著名ジャーナリスト、マリア・レッサ氏とロシアの独立系新聞編集長、ドミトリー・ムラトフ氏が受賞した。強権体制で報道の自由が脅かされるなか「表現の自由のための勇敢な闘い」に取り組んできたと評価された。だが22年6月にフィリピンでレッサ氏が共同創業したメディア「ラップラー」の企業登録が取り消され、9月にはロシアでムラトフ氏の「ノーバヤ・ガゼータ」の新聞発行免許を剥奪する判決が下された。

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ノーベル賞

2022年のノーベル賞発表は10月3日の生理学・医学賞からスタート。4日に物理学賞、5日に化学賞、6日に文学賞、7日に平和賞、10日に経済学賞と続きました。

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