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東京五輪開幕1週間、海外なお懐疑視 批判論調変化なく

(更新)
選手村でマスクを着けて歩く関係者ら(29日)=ロイター

東京五輪は開会式から30日で1週間を迎えた。新型コロナウイルスの感染拡大が続くなかでの開催に批判的な見方が多かった海外メディアの論調は開幕後も変わっていない。コロナや連日の猛暑といった異例の条件下で競技に臨む選手のコンディションに配慮を促すような報道も目立った。

日本では29日に新たに報告された感染者が初めて1万人を超え、2日連続で過去最多となった。政府は東京に加え、埼玉、千葉、神奈川などへの緊急事態宣言の拡大を決定した。米紙ニューヨーク・タイムズは29日、「大会が中盤にさしかかり、『安全・安心』の約束が試されている」と問題提起した。関係者と外部の接触を断つ「バブル方式」の維持に懐疑的な見方を示した。

5月のコラムで開催に警鐘を鳴らした米紙ワシントン・ポストも感染対策の限界を指摘し、「アスリートや世界に噓をついている」と国際オリンピック委員会(IOC)を糾弾した。競技者らに感染防護具すら提供せず、安全性を強調することでリスクを高めていると訴えた。陸上選手団が自主隔離となったオーストラリアのメディアも「五輪コロナのカオス」と皮肉を込めて報じた。

ロイター通信は日本の緊急事態宣言は諸外国のようなロックダウンではなく要請にとどまっていることを指摘した。「感染拡大は五輪開催に懸念を強める」とした。選手らは感染対策のため競技終了後48時間以内に帰国しなければならない。すでに一部選手の帰国が始まっており、選手らからは「もう少し大会の雰囲気を楽しみたかった」との声も漏れる。

日本の世論や政治への影響を指摘する報道も目立つ。英紙ガーディアンは29日、「国民の間で反対が広がっていたにもかかわらず、開催を推し進めたことへの批判に拍車をかける」と予想した。AP通信も「五輪が肯定的に描かれれば、最大の勝者は秋に衆院選を控える菅義偉首相になる」としつつ、日本国民が五輪を成功と捉えられるかどうかに疑問を呈した。

批判が払拭できないなか、選手の体調への負担にも関心が向かっている。「新鮮な空気が吸えずにとじ込められた」。AFP通信はコロナの検査で陽性が確認されてホテルで隔離生活を送るオランダの選手らが待遇改善を訴えていると報じた。米CNNは「圧倒的な暑さと湿度」と選手がプレーする条件を表現した。「死んだら責任を取れるのか」と試合時間の変更を要望する男子テニス選手の発言などを取り上げた。

焦点のひとつに浮上したのが選手の精神面への影響だ。27日には女子テニス日本代表の大坂なおみ選手が3回戦で敗退し、2016年リオデジャネイロ五輪4冠の女子体操バイルス選手(米国)が体操女子団体を途中棄権した。バイルス選手は「メンタルヘルスを守るため」としてその後の個人総合も棄権した。

開会式で聖火を点火する最終ランナーを務めた大坂選手は5月に全仏オープンを途中棄権し、うつの症状に苦しんできたことを告白していた。

ロイター通信は大会が「選手が直面するメンタルヘルスの問題にスポット」を当てたと指摘。家族らがそばにいない孤立感や感染対策への対応に一部の選手が苦しんでいるとの見解を示した。米ブルームバーグ通信も「コロナの対策が必要となったことがアスリートの精神面での課題となっている」と指摘した。バイルス選手は27日の会見で「わたしたちは単なるアスリートではなく人間だ」と語った。

選手からは不満も漏れる。ロシアのスポーツ専門メディアは26日、東京五輪は「フェアじゃない」と主張する同国の競泳女子選手のインタビューを伝えた。この選手は、東京五輪は必要以上の外出が許されず、検査で陽性になるなどして競技に加わることができない選手が多数いると訴えた。

開幕後に好意的な報道が増えてきたのが選手村(東京・中央)だ。各国の選手らがSNS(交流サイト)に相次ぎ投稿した景色や食事が取り上げられ、注目を集めている。ユーロニュースは選手村の段ボール製ベッドなどを念頭に「環境に優しい」とたたえた。

開幕前、ロシアメディアは相次ぎ「部屋が狭い」「テレビや冷蔵庫もない」とする選手村の設備不足を指摘した。ROCフェンシングの監督の「21世紀とは思えない」との発言を引用していた。

この発言に対し、大会関係者として選手村に滞在する元フェンシング日本代表のメダリスト、太田雄貴氏は本人から実際の発言とは異なるとの説明があったと明らかにした。監督の「到着した時にシャワーのヘッドが故障して困ったとジャーナリストに伝えたが、それ以外は脚色だ」「選手村は快適で素晴らしい。日本のスタッフの親切さにも感謝している」との発言をツイッターに投稿した。

イスラエルの野球選手らは9人でベッド上で跳びはね、破壊する動画をSNSに投稿した。国内外から批判が集まったことを受け選手は動画を削除、別の謝罪動画を公開した。

29日には米国で放送権を持つ米メディア大手NBCユニバーサル(NBCU)が大会の米国でのテレビ視聴率が予想を下回る可能性に言及した。無観客での開催となったことや相次ぐ不祥事で視聴熱が落ちている可能性がある。

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