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2期目に入るマクロン政権、課題は 専門家の見方

24日に決選投票が実施されたフランス大統領選で、現職のマクロン氏が再選した。だが仏国民はもろ手を挙げてマクロン氏を支持しているわけではない。選挙戦中は家計支援策の充実を掲げた極右・国民連合候補のルペン氏が追い上げる場面もあった。2期目に突入するマクロン政権の課題を専門家に聞いた。

ウクライナ危機対応が勝因に

パリ政治学院のリュック・ルバン主任研究員

マクロン氏の勝因の1つは、ウクライナ危機への対応だ。現職大統領という立場を活用し、自身をフランス・欧州の指導者だと印象づけた。反対にルペン氏はこの問題で何をしたいのか分からないと受け止められた。

仏有権者がルペン氏を危険視しなくなっていることは大きな変化だ。選挙戦略ではあるが、過激な公約を取り下げていったことで以前よりも普通の政治家だとみられるようになっている。前回2017年大統領選決選投票では「ルペン氏でさえなければ誰でもよい」と考えてマクロン氏に票を投じる人がいたが、今回その数は減ったようだ。

私は6月の国民議会選挙で、マクロン氏が率いる与党グループは過半数を維持できると思っている。一般に国民議会選は大統領選よりは投票率が下がるが、マクロン氏の支持基盤である高齢者や高学歴の有権者は棄権しにくい傾向があるからだ。

反対にルペン氏の支持基盤である低所得者層は政治への関心が低い人が多く、棄権しやすい。同氏の政党は地方で知られた有力政治家が少ないのも痛手だ。(聞き手はパリ=白石透冴)

欧州統合深化へ問われる主導力

渡辺啓貴・帝京大教授

今回のフランス大統領選の決選投票ではルペン氏が地方で支持を伸ばし、極右が地盤を強化していることが浮き彫りになった。社会経済不安が高まるなかでルペン氏の穏健化戦略が一定の成果を挙げた。対するマクロン氏は「金持ちのための大統領」というイメージを払拭しきれなかった。

エリート対庶民の構図は今後も残るだろう。1期目に達成できなかった年金改革を進めながら、購買力の向上や治安改善をどう具体化するかがマクロン氏の2期目の課題となる。

マクロン氏の続投で欧州統合の深化への方向性は維持される見通しとなった。ウクライナ情勢を背景に、フランスもドイツも当面は鋭い対立を避けて欧州内の結束強化を探るだろう。

ウクライナ問題の行方はロシア次第の面が大きく、フランスだけで劇的に流れを変えることは難しい。中長期的にはマクロン氏がかねて主張してきた欧州連合(EU)の戦略的な自立や、安保体制の強化について、どう議論を主導していくかも問われる。

当面の焦点となる6月の議会選で、大統領と内閣の「ねじれ」が生じる可能性は近年になく高い。大統領選の第1回投票では急進左派のメランション氏が2割の得票率を得た。議会選が混戦模様となり、極右や極左の台頭がはっきりと投票結果に反映されることも予想される。(聞き手は小川知世)

国民に耳傾ける姿勢不可欠

仏国際関係戦略研究所(IRIS)のジャンイブ・カミュ研究員 

マクロン大統領の次の課題は、ウクライナ侵攻などを受けた燃料価格高騰への対応や家計支援だ。選挙戦では公約の内容以上に、マクロン氏の傲慢(ごうまん)とも言える態度や話し方が問題視された。国民の声に耳を傾ける姿勢が不可欠だ。

極右政党「国民連合(RN)」のルペン候補の得票率は、事前の予想よりも低かった。第1回投票で敗退した極右政治評論家ゼムール候補の支持者がどう動いたかを分析する必要があるが、やはり有権者はルペン氏の極右思想に恐怖を感じたと言える。

マクロン氏再選は、前回ほどのインパクトはない。6月の総選挙は、前回の初当選を受けてマクロン氏の中道政党「共和国前進」が圧勝した2017年に比べ、厳しい戦いになるだろう。右派共和党やゼムール氏がどう動くかが注目される。(パリ=時事)

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