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「ハバナ症候群」米大使館員ら健康被害 原因特定急ぐ

米大使館員の健康被害が広がっている(ハバナの米大使館)=ロイター

米国大使館などで働く外交官や情報機関職員に「ハバナ症候群」と呼ばれる原因不明の健康被害が発生している。24日夜には、ベトナムでも被害が明らかになり、東南アジアを歴訪中のハリス米副大統領が一時、ベトナム訪問の可否を再考する異例の事態になった。電磁波による攻撃との見方もあり、米国や関係国が原因の特定を進めている。

在ベトナム米大使館は24日、「健康関連の異変に関する報告」があったため、ハリス氏のベトナム到着が遅れたと発表した。「慎重な評価の結果、歴訪を続けることを決めた」としている。米NBCニュースによると、少なくとも2人の外交官がハバナ症候群の症状を訴えたという。首脳級の外交に影響が出たことで、バイデン政権内に衝撃が広がった。

ハバナ症候群は2016年にキューバの首都ハバナで勤務していた米外交官らが最初に訴えた健康被害で、頭痛や吐き気、聴覚障害、目まいなどの症状を伴う。キューバ以外に中国やオーストリア、ドイツなどにある米国の在外公館の勤務者にも被害が出ている。米メディアによると、被害を訴えた人は計200人を超え、米中央情報局(CIA)の職員や関係者も約100人含まれているという。

原因については、殺虫剤や蚊を媒介とする「ジカ熱」など様々な臆測が飛び交ったが、米国科学アカデミーは20年12月、電磁波の一種である「高周波エネルギーの可能性が最も高い」との報告書を発表した。原因の特定には至っていないが、何者かが米外交官らを狙って、意図的に電磁波を照射した可能性も浮上している。

ハバナ症候群は米国と対立する国やその友好国で発生することが多い。対立国の関与も疑われるが、確たる証拠はみつかっていない。17年10月にはトランプ米大統領(当時)が「キューバに責任があると信じている」と発言したが、根拠は示さなかった。

一部の国では、電磁波を使って頭痛などの症状を引き起こし、相手を殺害することなく無力化する「非致死性兵器」の開発が既に進んでいるとされる。英タイムズ紙(電子版)は昨年、中国が世界で初めてマイクロ波を使った兵器を使い、インドと領有権を争う地域でインド兵を駆逐したと報じた。インド軍はツイッターで「報道は根拠がない」と否定した。

CIAのバーンズ長官は7月、米公共ラジオ放送NPRのインタビューで「経験豊富なベテラン職員による最強のチームが調査を始めた」と述べた。米政府はハバナ症候群に関して「インシデント(出来事)」だとして、「攻撃」という表現は避けているが、バーンズ氏は原因だけでなく「犯人」の特定に向けた調査を進めていることを示唆した。今後、政権として何らかの対抗策に出る可能性もある。(鈴木淳)

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