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3回目接種、4カ月後の国も 次の波抑止へ問われる戦略

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世界の主要国が、新型コロナウイルスワクチンの追加接種(ブースター接種)を急いでいる。時間経過とともに低減する感染予防効果を追加接種で補い、新型コロナの感染拡大を抑える狙いだ。感染の次の波を防ぐためにはワクチンを広く行き渡らせるとともに、効果を途切れさせない取り組みが必要になる。

「18歳以上の全ての人が追加接種を受けるべきだ」。欧州連合(EU)の公衆衛生専門機関、欧州疾病予防管理センター(ECDC)は24日公表した報告書で、これまで「緊急性はない」としてきた追加接種に関する従来方針を転換した。2回目接種から最短6カ月後の追加接種を推奨する。

ワクチン接種で先行した欧州主要国では接種完了率が7割前後に達したが、パンデミック(世界的大流行)の「震源地」になっている。ドイツでは一部の州の病院で医療体制が限界に達し、患者を別の病院に移送している。接種後に感染する「ブレークスルー感染」が目立ち、時間の経過とともに予防効果が低下している可能性が高い。

米ファイザーの公表資料によると、同社製ワクチンを2回接種してから4カ月経過すると感染予防効果が半減するという。米モデルナも8月上旬、接種の6カ月後からデルタ型などの変異ウイルスに対する予防効果が下がり始めるとのデータを明らかにした。効果が低減するスピードは年齢やワクチンの種類によって差があるとみられるが、2回目接種から4~6カ月後をめどに追加接種を始める国が増えている。

ドイツは18歳以上の国民全員に2回目接種から6カ月後、ワクチン供給が十分なら最短5カ月後からの追加接種を推奨する。仏メディアによると、仏政府は25日、成人全体に追加接種を呼びかける見通しで、従来6カ月としていた2回目接種から3回目の間隔を5カ月に短縮するもようだ。

追加接種の効果が表れているのがイスラエルだ。世界屈指のペースでワクチン接種を進めた同国は感染者が再び増え始めた8月、2回目の接種から5カ月たった60歳以上に追加接種を開始。順次対象を拡大し、既に人口の4割が3回接種を終えた。新規感染者数は9月のピーク時に1日1万人を超えたが、現在は数百人に抑えられている。現地報道によるとホロビッツ保健相は24日、また増えれば4回目が必要になるとの認識を示した。

24日の新規感染者が4115人と過去最高を記録した韓国では、早期に接種を受けた60代以上が新規感染者の4割近くを占める。韓国では高齢者を優先して2月下旬からワクチン接種を進め、接種完了率は日本を上回る79.3%に達した。接種完了から半年が経過した高齢者も多く、当局は10月から60歳以上を対象に追加接種を始めた。2回目接種からの間隔は最短で4カ月。11月からは50代にも対象を広げて追加接種を進めている。

追加接種を促す仕組みを導入する動きも相次いでいる。EUの欧州委員会は25日、ワクチンの接種証明「デジタルCOVID証明書」の改革案を公表した。証明書の有効期間を9カ月とし、EU域内で自由な移動を続けるには原則として追加接種が必要になる。イスラエルの接種証明も2回目接種から半年が経過すると失効する。

「接種完了者」の定義も変わってきた。イスラエルやオーストリアは3回目接種を終えて初めて接種完了と見なすルールを導入した。米国のファウチ首席医療顧問も同様のルールを「検討している」と語った。

子ども向け接種、米など開始 WHOは異論「高齢者が優先」

ワクチン未接種の子どもを起点に家庭に感染が広がるのを防ぐため、接種対象年齢を引き下げる国も増えてきた。

欧州連合(EU)で医薬品の審査を担当する欧州医薬品庁(EMA)は25日、5~11歳向けに米ファイザーなどが開発したワクチンの接種を認めることを推奨した。欧州委員会が最終決定する。

米国は11月上旬から5~11歳への接種を開始。ロシア政府も24日、12~17歳が対象の国産ワクチン「スプートニクM」を承認した。23日に5~11歳向け接種を始めたイスラエルのベネット首相は「ワクチンは子どもと保護者、そして国全体を守る」と呼びかける。

子どもは感染しても重症化しづらいとされるが、学校などで感染しウイルスを家庭に持ち込めば同居する大人にも広げてしまう可能性が高い。ワクチン接種でこうしたリスクを減らす狙いだ。

子ども向けの接種加速には異論も少なくない。世界保健機関(WHO)は24日、子どもより高齢者や医療関係者の接種を優先すべきだとの声明を発表した。子どもの重症化リスクは相対的に低く、副作用のリスクをあえて冒す必要はないとの指摘もある。

韓国では段階的に接種対象年齢を引き下げており、現在は12歳以上。「日常回復」へ向け学校の全面登校も始めたことで校内での感染例も増えており、中高生に対しては接種を推奨している。ただ、小学生以下については当面は見送る方針だ。

保護者の根強い反発もある。米カイザー・ファミリー財団(KFF)の調査によると、「子どもに絶対に接種させない」と答えた親の割合は30%だった。「様子見する」との回答も33%。一方、「今すぐに接種させる」は27%だった。

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