サウジアラムコ、米ブラックロックに155億ドルで資産売却

【ドバイ=岐部秀光】サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは23日、米資産運用大手ブラックロックが率いるコンソーシアム(企業連合)に、子会社である天然ガスパイプライン会社の株式の49%を155億ドル(約1兆7800億円)で売却する計画について最終合意したと発表した。
コンソーシアムはブラックロックのほか、シンガポールのケッペル・インフラストラクチャー・トラスト、中国のチャイナ・マーチャンツ・キャピタル、中国のシルクロード・ファンドなどで構成する。売却計画そのものは2021年に発表していた。
アラムコのアミン・ナセル最高経営責任者(CEO)は「長期の価値創造戦略の一環だ」と説明。今後、天然ガスの生産能力を拡大していく考えも示唆した。
サウジはアラムコの株式の部分上場など国営企業の資産を売って、実力者であるムハンマド皇太子が進める脱石油改革の資金を手当てしようとしているとみられる。アラムコは21年、石油パイプライン事業の一部を124億ドルで売却した。
欧米の投資ファンドのなかには環境、社会、ガバナンスを重視する「ESG投資」の観点から化石燃料資産の売却に動く向きも多い。一方、ブラックロックは石油や天然ガスビジネスのグリーン化に投資して気候変動問題への取り組みをアピールする立場だ。天然ガスも石油と同じく化石燃料ではあるが温暖化ガスの排出が少なく、再生エネルギー普及までのつなぎのクリーンエネルギーとして注目されている。
ラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は「温暖化ガスの排出ゼロは一夜で実現できるものではなく、グリーンエネルギーの未来に向かう積み重ねが必要だ」と意義を強調した。
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