フランス大統領、年金改革譲らず 抗議継続も施行を明言

【パリ=共同】フランスのマクロン大統領は22日、国内で強い抗議を招いている政府の年金制度改革の法案に関し「年内に施行する必要がある」として必要な自身の署名を違憲審査の完了後に行う考えを明言、改革実行へ譲らない姿勢を示した。地元テレビのインタビューで語った。
23日に改めて国内一斉の抗議行動を呼びかけた労組は「多くのデモ参加者らに対する侮辱だ」と強く反発した。情勢正常化の兆しは見えない。
年金支給開始年齢を62歳から64歳へ段階的に引き上げることを柱とする改革を政府は16日に国民議会(下院)で強制採択した。これに伴う内閣不信任決議案は否決されたが僅差となり、マクロン氏の支持率も低下している。
インタビューでマクロン氏は、社会の高齢化により「必要な改革だ」と理解を求め「短期的な世論調査結果より国の一般利益を選ぶ。不人気も引き受ける」と語った。
一方、政府は「正当な怒りに耳を傾ける」とも述べ、超過利潤を株主への還元策として自社株買いに充てる大企業に関して従業員らが恩恵を受けられる措置の検討を表明。肉体的負担の高い仕事の労働条件改善に向けて労組と対話を図る考えなども示し、改革以外で歩み寄る意思を示した。
また野党から辞任を求める声が上がるボルヌ首相への「信頼」を確認し、与党が少数の下院で野党の協力を広げられるよう政策を再構築するよう求めたと説明した。