プーチン氏、核戦力増強表明 ICBMや極超音速ミサイル

ロシアのプーチン大統領は23日、同国の祝日「祖国防衛者の日」に合わせてビデオ声明を公開した。防衛力の強化が最優先事項と述べ、大陸間弾道ミサイル(ICBM)など核戦力を増強する方針を強調した。
声明でプーチン氏は「今年はICBM『サルマト』が実戦配備される。(空中発射型の)極超音速ミサイル『キンジャール』の製造を継続するほか、(海上発射型の)極超音速ミサイル『ツィルコン』の大量供給を始める」と述べた。
サルマトは米本土なども攻撃可能な次世代のICBMで複数の核弾頭を搭載でき、飛行途中に分離して異なる攻撃目標に向かうため、迎撃の難度は高いとされる。2022年12月のロシア国防省の幹部会議でも、プーチン氏は核抑止力としてサルマトの近い将来の配備に言及していた。
プーチン氏は21日の年次教書演説でロシアと米国間の核軍縮条約である新戦略兵器削減条約(新START)の履行を停止すると発表した。ロシア外務省は同日に新STARTの履行停止中も戦略核弾頭数の数量制限を順守すると発表する一方、履行停止の原因は米国にあると批判した。22日には履行停止の関連法案が議会で可決され、米国などへのけん制を強めている。
プーチン氏はビデオ声明で「我々は部隊に最先端の装備を提供し続ける。通常兵器の生産を急速に拡大する」とも述べ、訓練強化と合わせて軍隊のレベル向上に取り組むとした。
従軍経験者や軍人をたたえる「祖国防衛者の日」を控えて、プーチン氏は22日にモスクワ中心部に近い競技場で演説し「(軍人は)我々にとって最も神聖で大切なものである家族と祖国を守っている」と発言した。ウクライナ侵攻から一年を控えて祖国防衛の戦いだと強調し、国威発揚につなげる狙いとみられる。

2022年2月にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって1年になります。戦況や世界各国の動き、マーケット・ビジネスへの影響など、関連する最新ニュースと解説をまとめました。
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