英首相、大使館移転を検討 エルサレムにと報道
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【ロンドン=共同】英紙タイムズは22日、トラス首相がイスラエルの商都テルアビブにある英国大使館をエルサレムに移転することを検討していると報じた。国連総会に合わせて訪米中のトラス氏が21日、イスラエルのラピド首相に考えを伝えたという。
エルサレムを巡ってイスラエルとパレスチナが帰属を争っており、英国は両者間の交渉で帰属を決めるべきだとの立場を維持してきた。実際に移転すれば、英国の中東政策を抜本的に転換することとなり、英国内外からの反発は必至で、紆余曲折がありそうだ。タイムズによると、英外務省も政策転換に反対するとみられている。
タイムズによると、トラス氏は首相就任前の8月、英与党保守党系のイスラエルロビー団体に対し、首相に就任すれば移転を検討する可能性があると伝えていた。
大使館のエルサレム移転を巡っては、トランプ前米大統領が2017年にエルサレムをイスラエルの首都と認定し、移転方針を発表。国連総会の緊急特別会合で米批判の決議を英国も含む128カ国の賛成で採択したが、トランプ前政権は18年に移した。これまでに米国、グアテマラ、コソボ、ホンジュラスの4カ国がエルサレムに大使館を移転している。
トラス氏は親イスラエルとされており、ラピド氏から「イスラエルの偉大な友人」と称賛されている。トラス氏が外相時代には英紙に両国の協力強化について、ラピド氏と共同署名で寄稿したこともある。